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●竹竿の切り組み(木地組み)の点検

竹で竿を製作するときに、一番悩むのが切り組み(木地組み)です。竿師 の方は数多く用意した原竹の中から求める長さ、求める調子、求める強さ、求める軽さ、求める外見など私達素人には想像もできない程たくさんの条件をカバー するために多くの選別要素を考慮しながら和竿製作に供する素材を選んでおられるに違い有りません。それが出来るのは竿師の力量と原竹の数の大きさが必要だ と思います。私達のように趣味で竿を作ってみようと思う場合は、思考を含めた技術の未熟さ、たくさんの原竹を用意出来ないこと、が起因して「求める長さ、求める調子、求める強さ、求める軽さ」については限られた手持ちの素材(原竹)の素性により制限されます。つまり 「こんな竿が作りたい」と思っても自分が持っている「竹がそれを決めてしまう」ということだと思います。

ただ、数少ない手持ちの素材を出来るだけ自分の理想に近づけて使うために、一部を切り取ったり何本かの竹を組み合わせてみるということについてはある程度 は可能だと思います。のべ竿としてはうまく調子が出せない素材でも継ぎ竿の一部に使うことにより有効に利用することが可能です。また継ぎ竿で節が揃わない 場合も他の竹から選び出せばうまく作れるかもしれません。竿作りに取り組みはじめた最初の頃は節を揃えることよりも調子をうまく出すことに重きを置いた方 がよいということは解かってはいるのですが、どうしても見栄えのよい竿を作ってみたくなります。また、継ぎ手付近に節が入ってしまうと見栄えだけでなく強 度面で不安があります。そんなことを克服するために継ぎ竿の一節の長さを少し変えてみたりして切り組みを見直しています。

このように調子を重視しつつ見栄えや強度の難点を克服しようとすると、どうしても竿の全長の変更をしなければなりません。正確なところは実際に作ってみて その竿を手に取ってみて初めて点検できるものでしょうが、竹の直径である程度判断できないか?と考えます。現実には、
継ぎ竿の調子は竹の直径だけでなく各節の竹の反発力の強さや重量の組み合わせも大 きく影響しています、しかし素人の私が作る竿に関しましてはそこまでシビアに考えることもなかろうか!と思っています。


自分の切り組みを点検する

同じ様な性質の竹の組み合わせで作る竿全体としてはスト レートテーパーが無難だと思います、すなわち竿先から手元までの竹の直径の変化が直線的になっているものです。並継ぎの竿に見られる段差(コミ差)なども 含めて全体を見た場合に直線的な直径の変化が得られていればよいと思います。点検方法は竿全体を見渡してどこか1箇所だけのテーパーが緩くなっていないか きつくなっていないか?です。測定した数字だけではよく解かりませんので私はグラフに描いて視覚にうったえて点検するようにしています。下記の表計算ツールの利用に際しては0.1mmまで読めるノギスが必要かと思います。

ツールは表計算ソフトとそのグラフ表示機能を利用しました。このページを閲覧していただいている方はパソコンをお使いになっていると思いますので Microsoft のExcelOpenOffice のooCalcで展開できるファイルを用意しましたのでよろしければ一度お使い下さい。Excel をお持ちでない方は ooCalcをご利用ください、
ooCalcはOpenOfficeの一部で、OpenOfficeは無償でダウンロードしインストールできるものです。私の 作ったツールのファイル (tanagorod-taper-table.xls)はフォントが Kochi Gothic に成っていますのでファイルを展開してみてセルに数字しか表示されない場合は表全体のフォント指定をお手持ちのフォントに変えて下さい。


(Microsoft Excel スプレッドシート 28.0KB)



このツールは自分で切り組みした時点で各節(継ぎ竿の各セクション)の長さや差し込み長さ、 先と元の直径を指定されたセルに記入することにより「コミの部分の直径差」「セクション単位のテーパー」「竿全体の長さ」「竿全体のテーパー」を計算して 竿を構成する竹の直径の変化が穂先からの距離でどのようになっているかを見られるグラフに表示するようになっています。竿は継ぎ竿としては6本継ぎまで、 竿の数は3例まで記入可能です。3例目にあなたの切り組みを記入してみてください。1例目と2例目はあらかじめ記入してありますがよい調子の竿がお手元に あればそのデータに書き換えていただければたいへん参考になると思います。

たとえば、3例目の表のうす緑色のセルに一旦切り組みした原竹(まだ切断はしていない状態)の測定値を記入(記入した文字は赤で表示されます)すると、下 のグラフに赤い色の線で目で確認できる形に表示されます。38行目の
うす緑色のセルには竿の名前を適当に 入れてください。また、3本継ぎの場合などは4番目、5番目、6番目のセクションが無いので該当する行の先径と元径を記入するセルに入力するデータがあり ませんが、一番手元の直径を空欄となる全てのセルに記入してください。(空欄のままでも大丈夫ですが、記入しておくと竿全体のテーパーが数字で出ますし、 グラフの右端に余分な線が現れないようになります。)







私はこのツールを使ってみて、竿の切り組みがいかに原竹の形状に左右されているかということを実感しまし た。見たところ綺麗な竹で節目もすんなりしている ので竿のどこかに使えないか?と思う竹がたくさんあるのですが、この表計算ツールにその竹の測定値を入力してみると「帯に短し襷に長し」というものがかな りあります。例えば、ちょっと太いが穂持ちに使えないか?と見えた竹を点検してみると長さが足らず、この穂持ちに合わせた穂先を用意しようと思えば太く短 いものでしかバランスが取れずカチカチの竿になることが解かってしまいます。また、一旦切り組みしてグラフ表示したものが四尺に僅かに足らないので各セク ションの長さを少しづつ長くして表に書き込んでヨシヨシ!と思っても、実際の竹をもう一度計りながら印を付けていたら節にブチ当たったりすることもありま す。竿作りでは切り組みが一番難しく奧が深いものかもしれません。









(参考)
継ぎ数が7本以上となる場合は、この表計算ツールを改造しなければなりません。グラフのある位置の一連のセルに「穂先からの距離」と「その場所の太さ」を 自動的に計算して入力するようにしてあります。表計算ツールを改造される場合はグラフを一旦別のセルの上に移動させてから「必要な行の挿入」と「行の挿入 により変更されてしまったセルの内容の書き換え」が必要です。
(2006年01月03日)







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