タナゴ用の鈎にはちゃんとカエシが付いているので困ったものです。 カエシのないタナゴ鈎なんて売っているのでしょうか? とにかく私の場合は26パック(合計378本)もタナゴ鈎を買ってしまいましたので、 この鈎のカエシをつぶさないといけません。 当初はプライヤを改造して先を細く削って加工すればよいのではないかと考えていましたが、 鈎の各部のサイズをを実際に測定してみてその「小ささ」にびっくりしました。
この鈎は購入したタナゴ鈎の内の一種で「三腰(小)」です、 5mm方眼紙の上に置いて撮影しておおよそのサイズを測定したものです。 チモトから先腰までの長さは約6.5mm、 カエシのあるアゴの部分(鈎先から先腰までの部分)は約1.3mm、 カエシはそのほぼ中間に付いていました。 ここで問題になるのは曲がりの部分とアゴの間にどれくらいの大きさのものが入れられるかです。 これくらいならOKではないか?と考えて描いたのが赤い色の部分です、 厚み0.5mm程度で幅4mm程度のようです。 こんな大きさ(細さ)までプライヤの先を削ってしまえば カエシに当てて締め付けた場合にたわんでしまい力が伝わらないでしょうし、 鈎の軸のアゴの部分のカエシの下側のところは他の部分よりもやや細くなっているようなので プライヤで無理に挟んだら折れてしまいそうです。
そこで砥石かヤスリを使う方法に変更しました。 砥石の厚みが0.5mm程度で幅4mm程度ならなんとかこの隙間に挿入出来そうです。 そこで、錆びにくくややバネ性もある真ちゅうの板を加工して、 その片面に耐水サンドペーパーを接着してみることにしました。 サンドペーパーの番手は使ってみて検討します、まず#800を使ってみます、 接着剤はシアノアクリレート系を使い加熱すれば簡単に分解するようにするつもりです。 サンドペーパーの幅は真ちゅう板の幅よりも狭くしておき先腰の部分を削らないようにします。 また、ベースとなる真ちゅう板は真ちゅうの丸釘を圧延して製作します、 一部は元の丸断面のまま残しておきピンバイスにチャックして手で保持する予定です。
a | b | cippai・失敗 |
直径2mmの釘をカナトコの上でゲンノウで叩いて伸ばしかけて、 途中で失敗に気付きました。 このまま厚み0.4mmまで伸ばしていったら幅が7.9mm近くになります、 圧延してからまた幅を削らなければなりません。 また、タナゴ鈎の軸の部分をなにかでしっかり保持しないといけませんので 幅は4mmよりもさらにサイズが小さくないといけません。 そこで、今度は直径1.2mm(#18)の真ちゅう線を使うことにしました、 これなら0.4mm厚で幅2.8mmになります。
上記のような訳で、再度はじめから製作開始です。 ホームセンターで真ちゅう線を買ってきました、 #18(標準直径1.2mm〜1.1mm)材質はBSW2でした、 15mで357円でした。 15mなんて長さも要らないのですが巻いてパックになっていましたので仕方がありません、 残りは他の用途に使います。
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(1) 真ちゅう線は、直径10cm程度に巻いてありましたので巻き癖を取ります、 ゲンノウでたたいて伸ばす時にあっちこっちに曲がりますので この時点ではテキトーに伸ばしておきます、 そして数センチの長さに切断しました。
(2)カナトコの上でゲンノウでどんどん叩いて伸ばしてゆきます、 所望のサイズ近くまで伸ばせたら叩くポイントの位置を加減してなるべく真っ直ぐにします。
(3)仕上がってから使う時の保持具にはピンバイスを使いますので、 軸の方はそのためのチャッキングに必要な長さと自分で作業しやすい長さに切断します。 また、平たくした方も多少長さに余裕があった方が良いと思います。 切断面はヤスリで面取りします。
(4)耐水サンドペーパーの#800のものを細い短冊状に切り取ります。 少しくらいならハサミで切ってもいいかもしれませんが、 刃が磨り減りますのでハサミよりもカッターナイフの方がよいでしょう。 幅は真ちゅうの板の部分の幅よりもわずかに細くしました。
(5)真ちゅうで作ったヤスリのベースに耐水サンドペーパーを接着するのにはアロンアルファを使いました。 接着剤の容器から直接出すと失敗するおそれがありますので、 まず、紙切れにアロンアルファを絞り出して、 そこからツマヨウジの先にアロンアルファを付けそれで耐水サンドペーパーの短冊の四隅を接着しました。
(6)出来上がった状態です。 サイズを測ってみたら軸の長さ26mm、平らなところの長さは30mm、 断面はおよそ0.5mmx2.2mmの形状でした。サンドペーパーは厚み0.2mmでした、 切ったサイズは1.6mmx21mmでした。
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(13)自作の那智黒石の砥石 | (14)ストッパー付き |
(7)ピンバイスに取り付けた状態です、 ピンバイスはチャックできる軸のサイズに大小の限界がありますので購入する時に留意します、 これは0.1mm〜1.2mmまでに適応可能なもので628円でした。
(8)(9)さっそくタナゴ鈎のカエシに当ててみました。 ぎりぎりでカエシに当たりますが先腰の内側にかなりの隙間ができました、 まだ厚みが大きいようです。 作ったヤスリの厚みを測ってみると0.6mm〜0.7mmです。
(10)ヤスリ全体の厚みをあまり薄くするとコシがなくなると思いますので 鈎の先腰の内側に当たる部分だけを削り落とすことにしました。
(11)結局、砥石のベースメタルのエッジは両方とも落としました。 こうしておけば耐水サンドペーパーの両端が使え、無駄が無くなると考えました。
(12)また、耐水サンドペーパーをカエシを削り落とす作業の途中で貼りかえるのは面倒であり、 集中力も解けてしまいそうなので砥石のベースメタルはいくつか作っておくことにしました。
なお、この砥石を使う時の保持角度が狂うと鈎先もいっしょに摺ってしまいます。 鈍った鈎先を砥ぎ直すのには私は自分で作った那智黒石の砥石(13)を使うことにしました。 ニ方砥ぎなので大きな砥石でも長辺のエッジ部分で砥石が荒れていなければOKなのです。 また、鈎の保持にはフライフィッシング用のストッパー付きフォーセップス(14)を使います、 グッと鈎をつかんだ状態で止めておけるので便利です。 医療用具のストッパー付きの鉗子や持針器でもよいかも知れませんね。(2004年12月26日)
三腰(小)原形です | カエシが少し残る状態 |
そこで、早速このヤスリを使ってタナゴ鈎のカエシを摺り落としてみました。 この画像は15倍のルーペ (天体望遠鏡のケルナー18mmの接眼鏡の視野レンズ側から覗いて使った状態で、 見かけの視野はおおよそ20度です) で見たところを描いたものです。 左は元々のカエシの状態です、 時々ルーペで点検しながら右の画像のようにカエシがわずかに残っているところまで削り落としました。 実際にタナゴを釣って確かめたいのですが、 すぐに釣りに行けないのでビニール袋にタナゴ鈎を突き刺して 引き抜く時にカエシの抵抗があるかどうかで判断しました。 この右の画像で示したくらいカエシを摺り落とした状態ですんなり鈎は抜けましたので たぶんOKではないかと思います。次の釣行で確かめてみます。(2004年12月27日)
2005年3月に入って、集まっているタナゴの全長の平均が6cm程度のポイントを見つけてから、 やや大きめのタナゴ鈎を使ってみました。小サイズではない方の「新半月」です。 上の記述であきらめたと書いてあるプライヤーを使ってカエシを潰す方法にチャレンジしてみました。 プライヤーの先を少し削って加工すればカエシ潰しに使えることが解りましたので ここでご紹介することにしました。 タナゴ釣りは出来るだけ小さなタナゴを掛けるという面白みもありますが、 そこそこの大きさの鈎でそこそこの大きさのタナゴをのんびり釣って 周りの自然を眺めるのもひとつの楽しみ方であるということも解ってきました。
(A) | (B) |
(C) | (D) |
(E) | (F) |
(A)元になるプライヤーです。 先にギザギザが無く、合わせ面が平坦なものを買い求めてきました。 その尖端部分の外側をヤスリで摺り落として幅をやや細く、厚みも薄くしました。
(B)鈎は新半月です。大きさを比較できるものが写っていないのでわかりずらいですが、 この画像で鈎先から軸に向かっての水平距離がおよそ2mm、軸の太さは0.25mmでした。
(C)プライヤーで鈎のアゴ部分を挟んだ状態です。 このままグッと軽く握りこめばカエシは折れるか潰れるかします。 この時点までにハリスをくくり付けておいた方が良さそうです、 一度だけこの工程で鈎が跳ねて飛んでしまいどこへ行ったか解らなくなってしまいました。 ハリスが少しでも付いていれば落とした鈎でも見つけやすいでしょう。
(D)次いで、潰れたカエシと軸の間の隙間あるいは段差を埋めるようにアロンアルファを付けます。 アロンアルファは容器から直接だと出すぎる場合がありますので、 一旦ツマヨウジの先などに付けてから鈎に付けます。 この接着剤は空気中の水分を触媒として硬化するタイプですから 部屋の空気が乾燥しすぎている場合はハァ〜ッと息を吹きかけてやれば早く硬化します。
(E)アロンアルファでコーティングしたカエシの付け根付近です。 この部分の軸がやや太くなっていますが、タナゴがバレやすいといったことは無かったです。
(F)このように処理したカエシの跡にひっかかりが残っていないかどうかは、 ビニール袋の切れ端などに鈎を立ててみて、抜くときの抵抗で判断しています。
ちなみに、この作業にかかる時間を計ってみますと、5本の処理でカエシつぶし5分、 コーティング5分、点検5分でした。1本あたりだと1分24秒でした。 なお、このアロンアルファのコーティングはタナゴを数十尾釣る間ははがれませんでした、 この点はいろいろなコンディションに因ると思いますが普通に使っていればまず大丈夫なようです。 (2005年3月13日)
接着剤と糸付きバリ | これでも釣れました |
2007年の9月に、琵琶湖本湖でカネヒラの成魚狙いで釣っていたところ。
0.1号や0.15号のハリスでくくったハリをたくさんブルーギルに持ってゆかれました。
また、コンクリートのテトラポットの傍を釣っていると根ガカリでハリ先が甘くなったりして、
たびたびハリを交換しなければならない日がありました。
ハリのスペアが無くなりかけて、
カエシを落とす道具をバッグから取り出して作業しようか?
そんなことをしていたら時間が勿体無いな?などと思案していたところで、
ちょっと実験をしてみることにしました。
市販の糸付きのハリ(カエシ有りでハリスは0.3号でした)
そのままの状態でカエシの部分に
アロンアルファをたっぷりと付けてカエシをコーティングしてみました。
ビニール袋に刺してみたり、靴下に刺してみたりして確認したところ、
僅かな抵抗はあるものの刺したハリをすんなりと引き抜くことが出来ました。
これは簡単です。多量のアロンアルファでコーティングしたためカエシの部分の軸が太くなってしまって、
ハリの貫通能力が落ちているかと思いましたが、
実際に釣ってみると特段問題はありませんでした。
カエシを落とすのではありませんが、
カエシを効かなくするという目的は同じなのでこのコーナーに掲載しました。
(2007年09月22日)