釣魚不全

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釣魚不全 / Column

 

あこがれの霞ヶ浦

新・霞ヶ浦の魚たち

桜の花がそろそろ満開となろうという天気のよいある日の午後、 一冊の本を携えて琵琶湖岸の公園に出てひなたぼっこをしました。 その本は、一ヶ月くらい前に編者のおひとりの熊谷さんにお願いして分けていただいた図鑑です。 その日はポカポカと暖かく、私はそれを読みながらいつの間にかうとうとと寝てしまっていました。 目が醒めるといつの間にか周囲の風景が変わってしまっていて、 湖面には帆引き船が浮かんでいて、 桜は葉がいっぱい茂ってしまって真夏のような暑さでした。 「エッ?霞ヶ浦?」と思いながら目をこすり、もう一度目を開けるとやっぱり春の琵琶湖です。 居眠りする前に読んでいた図鑑の挿絵が幻のように目に浮かんで見えたような気がしただけでした。 私はタナゴ釣りを始めてから、「一度は本場の霞ヶ浦水系で釣ってみたい!」とずっと思い続けています。 そんな願望を持っているところへ霞ヶ浦水系の魚の図鑑を読んだものですから 霞ヶ浦の風景の幻が見えて当然です。 しかし、実際には釣り以外の旅でも霞ヶ浦へは訪れたことがありません。 でも、この図鑑を読んだだけで視覚的な、また時間を越えたバーチャル旅行をしたような気分でした。


図鑑のコラムにタナゴ釣りのスタイルの歴史的な変遷が書かれていました。 タナゴ釣りという釣りは随分と歴史が長いらしく、江戸時代の中期にはすでに盛んになっていたとの ことです。また、食べるための「漁」ではなく、魚とたわむれる「遊び」であったとのことで、 当時豊かな生活が出来た一部の人たちだけが出来た遊びなのかもしれません。 当時のタナゴ釣りは豪勢な遊びだったとか粋、洒落、小ささの極致を追求した遊びだったとか云われています。 しかしながら、その根底には己を自然に溶けこませてゆったりと遊ぶ釣りのスタイルがあったことには違いないと想像されます。 それに較べて今の私のタナゴ釣りは、下手なくせにただ単に数を求めているという不粋な意地汚い釣りのように感じました。 釣りの技術に加えて精神的にももっと修行せねば!と思った日でした。 もうちょっと精神修行しないと霞ヶ浦まで行けません!


この図鑑はとてもよいものだと思いますので御紹介しておきます。 A5版158ページとなっており、持ち歩くのにそうかさばりません。 写真は全てカラーで、撮られている魚はほとんど捕獲直後で生きている状態であったろう思われ、 忠実な色が表現できていると感じられます。また、撮影日時と場所も明記されています。 標準和名の表示部分が色分けされて、在来種、国内外来種、国外外来種の区分が解かりやすくなっています。 また、六名の著者の方々の霞ヶ浦の魚たちへの思い入れが感じられ、 生態系としての霞ヶ浦の現在の問題点がすこし浮かびあがって見えたり、 魚と地域の人々の生活との関わりの歴史がわかるコラムもあります。


新・霞ヶ浦の魚たち 新・霞ヶ浦の魚たち
   こんな図鑑です  霞ヶ浦の歴史から記述

ー まだいるの? どこから来たの? ー


平成調査  新・霞ヶ浦の魚たち


発行日:2007年3月1日(初版)
編  者:萩原富司・熊谷正裕
発行所:社団法人霞ヶ浦市民協会
〒300-0033 茨城県土浦市川口2町目13-6


2007/04/18 (Wed)

 

タナゴは誰のもの

画像タイトル:小川

夢を見ました、変な夢でした。この冬は寒波が早くから襲ってきて滋賀県北部が記録的な大雪となっているので、ここのところタナゴ釣りを御無沙汰しているのが原因かもしれません。また、この1年間タナゴ釣りをしながらいろいろな方々に出合って、お聞かせいただいたいろいろなお考えに対する私の考え方が整理出来ていなかったのが原因かと思います。その変な夢のストーリーは次のようなものでした。


絶好の釣り日和のある日の午後、私はいつものようにタナゴ釣りに出かけました。目的地はおそらく私しか知らないであろうマイポイントです。細く小さな水路の一ヶ所だけがやや深くなっており、この季節には周辺のタナゴが全部集まっているところなので楽しい釣りが約束されている場所なのです。また、今までは誰にも出合わずにいつも一人占めできたところでした。


わくわくしながら車を運転し目的地の近くまで着いた時に、いつもと様子が違うのに気が付きました。私が釣ろうと思っていたポイント周辺に今日はたくさんの車があり、その奧にはパワーショベルのような重機まで見えます。また、釣ろうと思っていたポイントを囲んでたくさんの人が集まっており、お互い喧嘩腰で声を荒げて議論しています。あまり近寄るとトバッチリを喰らいそうだったので、チョット離れて聞き耳を立てているとおおよそ事情が解かってきました。どうやらここに棲息しているタナゴの取り合いをやっているようでした。


たも網を右手に持った人物が発言しています:
私は絶対に乱獲はしない!家で飼育する分の2尾だけしか捕らない!


ホルマリンのビンを片手に持った人物が言いました:
私は、この貴重な生物を標本として2尾捕るだけだ!


ソロバンを左手に持った人はこうでした:
私も、もちろん乱獲はしない、今日は2尾だけでいいんだ!


私は仕方なく少し離れて釣ることにしました。でも:
100尾釣ればリリース時に2尾くらいは浮いてしまうでは!


そのうちに奧の方に居たパワーショベルの運転手さんがこっちへ来て言いました「ここはこれから埋め立ての工事をします。 危ないから皆さん出ていって下さい」。結局、工事関係者以外は全員追い出されてしまいました。それにしても みんなやっていることは同じだし、誰もパワーショベルを止められませんでした!私は立ち去る時に、みんなで手をつないで体を張ってバリケードになれば止められたかもしれないなあと考えながら歩いていたら、足を滑らしてしまい 氷水が流れている水路にジャブンと落ちてしまいました。そこで目が覚めて夢から現実に引き戻されました。

2006/02/12 (Sun)

 

タナゴ釣りのシーズンオフは?

画像タイトル:真夏のタナゴ釣り

私の真夏の釣り姿です。この画像は3日前にシンちゃんに撮影していただいたものです。私は2004年の11月にタナゴ釣りを始めて、当初はブルゾンで、真冬はスキーウェアーで、春になったら長袖シャツで、今はTシャツ一枚で釣っています。真夏の陽射しを避ける為にはほんとうは長袖シャツの方がよいのですが、暑さに負けてこんな姿で釣っています。タナゴ釣りにはシーズンオフが無いようです。


他の釣りでは魚の産卵期や仔稚魚の成育期は禁漁期間というものが設定されていて、その間は釣りが出来ないことになっている場合が多いです。このような決りがあるものは、ほとんど水産に関わる魚種である場合が多く、対象魚を水産資源として再生産するために決めた仕組みです。ところが、タナゴは水産資源とはされていないようで、当然漁業権の対象にもされていませんし食用に供されることも一部の地方の伝統的なお土産程度ではないでしょうか?それゆえタナゴの繁殖を保護するための法的な措置は皆無に等しく、私達釣人が少しでも気を付けて産卵期のタナゴや仔稚魚を大切に扱わなければと思います。


タナゴ自体やその棲息環境が危機的な状況を呈している現状で、「タナゴをハリに掛けていじめる」という釣り自体を目的にしている私がこんなことを考えることは誠に矛盾してはいるのですが、釣った魚の扱い以外にはハリを飲まれることが魚にとって一番ダメージが大きいと思います。私は上手く魚のクチビルにチョンとハリ掛かりさせるように練習しないといけないようです。


タナゴ釣りのシーズンオフの提案をしようと思って書きはじめましたが、それもなんか矛盾しているような気がしてきて止めました。世の中、特に人という生物には、矛盾が多いですね!


2005/08/15 (Mon)

 

ナマンダブ、ナマンダブ.....!

画像:解剖

この画像はタナゴの腸長比を調べてみようとして解剖したところです。当初こんなことするつもりはなかったのですが、採餌動作を観察するために短期間の予定で飼育していた4尾のタナゴの種がどうもはっきりしなかったので、婚姻色が出るまで飼い続けようと思い、薬浴させたのですが短期間で水温を上げすぎたことが原因らしく一夜で死なせてしまいました。ああ可哀相なことをしてしまったと後悔しても後の祭り、私の勉強不足がタナゴの生命を奪ってしまいました。 それにしてもこのタナゴの種が知りたかったのでインターネットで魚類の関係のサイトを検索しているうちに「腸長比」というものを知りました。体長に対する腸の長さの比が食性の違いでいろいろあることが解りました、一旦庭に埋めかけた死体を掘り起こしてきて解剖してみたところの画像です。恥部をさらすような気分ですが、自然を大切にとか野生生物を大切にとか言っている私の一面です。


ところで・・・・・魚類を研究しておられる学者さんたちは研究のために魚を殺す時になんてつぶやいておられるのでしょうか?我が家では祖母も母もまな板の上で鰓をパクパク動かしている鯉や鮒に向かって包丁を片手に「ナマンダブ、ナマンダブ・・・・」ってつぶやいていました、たぶん自分自身のためにだと思いますが!

2005/02/13 (Sun)


 

滑稽で奇妙なジレンマ

画像:鮎

私は鮎の友釣りが大好きです。鮎の中でも、最近はめっきり数が少なくなりましたが「海産鮎」に惹かれます。鮎は釣って面白く食べて美味しい魚で、その友釣りは日本独特の釣りで、多くのファンが居られ、遊漁だけでなく漁業の上からも価値の高い魚種ということがあり、昔から盛んに増殖事業が進められてきました。その方法は、「どこか」から運んできた鮎苗(稚鮎)の放流でした、最近でこそ地元の水系の在来の鮎を増殖するところが増えてきていますが、従来は追いが強く釣りやすいと言われる琵琶湖などの「湖産鮎」の苗を利用することが多かったようです、しかも友釣りの人気と相まって元々鮎が生息していない河川や、鮎とアマゴが棲み分けていた境界を越えた上流域まで、どんどん放流されたようです。私がこのことについての大きな問題点を知ったのは「環境goo」のWEB探訪記・川の多様性って何だろうという3ページの記事でした。森下郁子先生へのインタビューを元に掲載された記事で、その中の「アユが川の多様性を変えてしまう?」というセクションは私にとってはかなりショッキングでした、私も川の多様性を変えてしまった犯人に加担した一人だったのです。あなた・・・・大丈夫ですか?


鮎なんて1種類しかいないと思っている方が多いと思いますが鮎にも地域的な違いという種の多様性があるのかもしれませんし、陸封された「湖産鮎」と「海産鮎」は明らかに違います。このことも考え合わせると日本の川はヒトとアユによってかなり生物多様性が撹乱されてしまったようです。こんなことを考えていると「私は友釣りの大ファンです」なんて大きな声で言えなくなってしまうかもしれません、でも私は足がヨボヨボになっても友釣りは止めないでしょう、この奇妙なジレンマを背負って!その奇妙なジレンマとは、「ある生物がそれ自体を含む系について語ることで陥る滑稽な矛盾」です。

2005/02/11 (Fri)


 

エッ、境界線が無いの???

画像:地図

この画像は国土地理院の地形図閲覧サービスの「ウォッちず」の一部です。挿絵程度に使うのは問題ないらしいですので掲載しました。場所はJR新幹線の関ヶ原トンネル付近です、左側が滋賀県で右側が岐阜県なのですがよく見ると赤い矢印の部分だけ県境が描いてありません、描画ミスか印刷ミスかと思っていましたが、実は境界未定となっているらしいです。ということで東日本と西日本とは明確な境界があるわけではなく繋がっているということが解りました、この山の上でお雑煮を作る時は丸でも四角でもない形のお餅を使いましょう!。また、滋賀県内では琵琶湖の湖面が「境界未定地域」となっており、琵琶湖内ではどのあたりが何市でどこが何町であるといったことが言えないらしいです。それと、もう一つ、琵琶湖は漁業法上では「内水面」ではなくて「海」らしいです。私は、塩っぱいのが海だとばかり思っていましたが、必ずしもそうではないらしいです。


2005/02/01 (Tue)


2006年後半から何度か報道されていますが、「境界未定地域」となっている琵琶湖の湖面に境界線を引こうという動きがあります。 なぜそんなことをするのかの理由は「交付金を増やしたい」とのことでした。 なんでも、税金を使うときの交付金の額の決定には市町村の面積もファクターに入っているようで、「面積を増やせば貰える交付金も増える」とのことらしいです。 そして、使い道は環境面での整備事業に「も」まわせるということでした。 琵琶湖の湖面を山分けしようとする対象となる市や町は琵琶湖に面しているところだけらしいのですが、 別に県内全部の市や町を含めてしまってもよいのではないかと思います、飛び地がいっぱいできますね。 ただし、琵琶湖集水系以外の流域面積は除外しなければならないでしょう。 なぜ、こんなことを書いているかと言いますと琵琶湖を浄化槽代わりに使っている私達滋賀県民全部が その環境面の整備に関わらないと不公平だと思うからです。 琵琶湖に市町境界線が引けたあかつきには、それぞれ分担して、まず湖底の清掃をしなければなりませんね! 交付金がどれだけ増えるか知りませんが、きっとそれだけではとても足らないでしょう。

2007/01/27 (Sat)

 

「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」って何なのだろう?

外来魚についてウェブの世界を覘いていると「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」なんて言う文字があちこちで見られました。法律にうとい私にはよく解らないのですが、なんでも生物多様性条約に基づく国内法の一つとしての位置づけらしいです。


画像:タイリクバラタナゴ

しかし法案上での 「特定外来生物」の定義とは 、

「海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物であって、我が国にその本来の生息地又は生育地を有する生物とその性質が異なることにより生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害(以下「生態系等に係る被害」という。)を及ぼし、又は及ぼすおそれがあるものとして政令で定めるものの個体等をいう」

らしいです。 私は「自らが移動してきたものではないすべての生物」が外来生物だとばかり思っていましたが・・・・・・・・それに「人間自身や人間社会にとって被害が及ぶかどうか」という判断基準が追加されているようです。「等」の方がやっぱり大事だという考えが読みとれました、それなら「特定外来生物による農林水産業などに係る被害の防止に関する法律」という名前にしたほうが正直だと思うのは私だけでしょうか?


それにしても、タイリクバラタナゴはどういう扱いになるのでしょうか?生態系はおおいに攪乱してしまったが水産業にはほぼ無害であるような?????いずれにしても、この長い第四間氷期はいつまでも続くとは思えませんので、こんな法律を作ったってそのうちに日本、いや世界中の生態系に大きな変化を迎える時期がくるでしょう!


2005/01/27 (Thu)

コラムの一部をブログへ移動しました。: 2008年09月10日更新