タナゴ釣りの竿は三尺(約90cm)から十尺(約303cm)まで釣り場に応じたいろいろな長さのものがあるようです。 私の手持ちの竿をそのような長さの竿に改造してみました。 竿の硬さは竿の素材の種類や形状で決まってしまっていますので、 そう簡単には変更できませんがチョット加工して試してしました。
タナゴ釣りを始めてからもうすぐ1年目というある日、釣りの帰り道で大型のホームセンターでグラスの小継万能竿を購入しました。この竿は長さ1.8mでしたのでそのままでも、充分タナゴ釣りに使える長さでしたが竿を伸ばして振ってみると先調子のくせに先が重く感じる竿でした。このままではちょっと使い難そうでしたので、改造することにしました。ちなみに購入価格は498円でしたので失敗したら1日タバコを我慢する決意です。
元々は四本継ぎ、1.8m | 穂先はヤスリで削り |
直径1mmから0.6mmに変更 | 三本継ぎ、1.22m |
クリーム色に塗装 | 握りはこんな風に |
竿は仕舞寸法57cmで4本継でした。先調子ですが全体としてはずいぶん軟らかかったので短くして使うことにしました。普通はこういう場合穂先と元のカットで対応するのですが、穂先をカットすると硬すぎるように思いましたので元竿を取り外して穂先を細くすることで3本継4尺の竿とすることにしました。
穂先はグラスエポキシのソリッドでした。穂持ちから下の方は削りませんので穂先だけが変に曲がらないように留意しながらヤスリで削りました。穂先の元の直径は1.0mmでしたが、それを0.6mmまで細く削りました。元の竿尻の尻栓が欲しかったので元竿を切って握りとして使うことにしました。さらに塗装もやり直そうと思い元々の塗装を全部はがしました、するとカーボンロッドのような黒い色の素材でした。この素材の持つ反発力からみてどう考えてもグラスです、最近のグラスロッドの樹脂にはこんな黒い色が着けてあるということが解かりました。
塗装はクリーム色の合成うるしを使いました。チューブの表示は白色だったのですが20年近く置いておいたらクリーム色に変色してしまっていました。握りと胴は直径の差が大きかったので隙間に竹を差し込んで削って成形し絹糸を割れ止めと飾りに巻いています。握りの部分は合成うるしの透を塗りました。改造前のオリジナルと比較すると同じ重さのものを釣り下げてみたところ穂先のたわみは1.5倍くらいになりました、これで釣趣も少しは向上したのではないかと思います。
元の塗装を剥がして再度塗装してみると、継の部分がスムーズに繋げなくなりました。サンドペーパーで少しずつ削って細くしたり、アロンアルファを薄くつけたりして直径とテーパーを再調整しました。(2005年 11月16日)
この竿はグラスファイバー+フェノール樹脂の超安物の竿です、スキー仲間のJINさんから戴いた竿なのですがお世辞にも「使える竿」だとはとても言えない代物でした。おそらく小物釣りの仕掛けとセットでビニール袋に入り数百円で売っている、「釣り入門用」などど訳のわからない商品表示がしてあった竿に違いありません。「万能竿」などとも表示されている場合もあります、万能竿とはどんな釣りに使っても面白くない竿のことです「どんな釣りにでも使える」なんて勘違いしないで下さい、竿には「振り出し竿 360 Korea」と書いてありました。 この竿の穂先と穂持ちを4尺くらいのタナゴ用の振り出し竿に改造してみました。穂先と穂持ちのサイズは下の図のようになっていました。
穂先の先端半分はグラスファイバー+エポキシ樹脂のソリッド(わずかに黄色みを帯びた白色です)で、その他の部分はグラスファイバー+フェノール樹脂(茶色です)でした。また、パイプ状になっている部分はかなり曲がっています、まるで火入れ前の竹のようにみえます、たぶん成型の時に金型が曲がっていたのでしょう。バイプ状になった部分の厚みはおおよそ0.7mmでしたが部分的にばらつきがあるようです。
四本継ぎにするために継げそうなところで切りました、穂先・穂持・穂持下の3本は315mmの長さです、
手元は380mmです、これらの長さはうまく継げるように内径を推測しながらわずかに長めに切ってから継ぎ合わせ部分をヤスリやサンドペーパーで削ったり再
度切り詰めたりしながら加工して落ち着いた長さです(注意:削ったところや削りカスにはガラス繊維がじかに出ていますのでうっかり素手でさわるとチクチク
刺さります)。継ぎ部の長さはおおよそ2.5cmから3cmです。一応継げるようになるまで加工した後に継いでみると全長は125cmでした(もう1本足
して五本継ぎにすると160cmくらいになりそうです)、調子はシャンシャンで 9:1 くらいの超先調子であまり面白くありません。曲げて観察すると穂持ち
の先の方の2/3くらいの部分が硬すぎるようです、肉厚が0.7mmと分厚いのが原因のようです、そこで穂持ちの肉厚を薄くするように外側から削ってみま
した、継ぎの部分は薄くすると割れるおそれがありますのでそのままにしておきます、ノギスで点検しながらおそるおそる削り始めました。
(2004年12月31日)
穂先と穂持の曲がり具合 | 形には成ったが失敗 |
時間をかけて少しづつ削っては曲げてみて、また削って曲げてみて、 とやってみましたが、穂先と穂持ちの曲がり方はいつまでやってもギクシャクした曲がりから 抜け出せませんでした。どうしても穂先が穂持ちに負けてしまうのです。 どうやら失敗のようです。 このグラスロッドの素材はガラス繊維で布状に織ったものを円筒形にして それをフェノール樹脂で固めてあります。ですからガラス繊維の布状のものを 多く削りすぎると使いものにならなくなってしまいます。 元々の素材の肉厚が0.7mmもありますので、この切り節の長さでは節どうしの曲がりが どうしてもスムーズな連続的なものに出来ないということが解かりました。 さらに、竿全体のテーパーが極めて大きく、タナゴ竿としては使いものにならないということが解かりました。 残念ながら竿にはなりませんでした。 素材は補修用とか他の道具を作る材料として使えそうですので、また何かに利用してみます。 (2007年2月26日)
握りを作る | 竹を利用する |
カーボン竿でもグラス竿でも、振出し竿の先の方のセクションだけを使い元々の長さよりも短くした場合に 尻栓と握りをどうするかで困ります。 私は竹を加工して尻栓付きの握りを作りました、竹は矢竹や丸節竹を使いますが他の種類でも大丈夫です、 竿に取り付けるには尻栓を外して下から竿を差し込みます。 一時的に短くして使う場合は接着はしません、 このように、振出し竿に一時的に使う場合の握りの部分を「ハカマ」と呼びます。
口栓も竹で作る | 好きな形に整形する |
軟らかめの渓流竿の穂先からの四節で2mの竿として使えるハカマと口栓のセットです。 私が持っているNFT PowerLoop 魁・渓流・中硬調 4.4mと、 メーカー不詳のカーボンロッド 奥飛騨 4.5m両方に使えました、 元竿の直径とハカマ口径が合わない場合は紙切れなどで調整すればよいのではないかと思います。
キャップ式の口栓 | 細みの握り |
同じ竿で三節を利用して1.5mの竿として使えるようにしました。 ハカマ(臨時握り)の構造は同じです。 竿が短いと竿の重さも軽くなります。 竿全体と握りとのバランスも大切です、短く軽い竿では細い握りがよいと思います。 元竿の先の玉口が細いので栓ではなくキャップ式にしました。
ボールペンの軸を使ってみました。 インクが無くなったらリフィルを交換して使うタイプのボールペンで、 素材がプラスチックのものなら簡単に加工できます。 加工とは言っても先の穴を大きくして竿がうまく留まるように穴の内径を調整するだけです。 あまり太い竿の場合は利用できません、後側のネジ式のキャップのネジの径以下なら大丈夫です。 この「ボールペンの軸」の握りはプラスチックという素材の性質上、変形しやすいのが難点です。 一年も使わない内に、変形してバナナのように曲がってしまいました。 曲がったのは、真夏に車の中に放置しておいたのが原因でした、 数十℃にもなって日当たりの部分と日陰の部分の温度に差があったのでよく曲がってしまったようです。 しかし、このことにさえ気を付けていれば大丈夫でしょう。(2007年2月26日)
1.5mと2m用、キャップ付 | 1.5mと2m用 | 1.3m、1.8m、2.3m用 |
私が竹で作ったハカマの一部です。 切り節(仕舞寸法)が50cm前後の渓流釣り用の振出しカーボンロッド用ですので、 二本セットや三本セットとなっています。 左端のものは口栓としてキャップ式を採用しました、 振出し竿の口栓は胴のテーパーの付き具合を考慮すると、キャップ式にした方がシックリとフィットします。 差し込み式の口栓にする場合は、 竹や木の差し込み部分の表面をコロシ(押して繊維を潰すこと)てもよいのですが、 柔らかくなる半面、吸水しやすくなって差し込みの塩梅が湿度によって変わってしまいます。 どうしても差し込み式の口栓にしたい場合は、 コルクを素材にして作り、口栓の芯に木や竹など硬いものを入れるとよいかもしれません。 (2007年09月09日)
2.7m、3.15m、3.6m用 |
タナゴ釣りは手もとの岸際を釣る場合が多いと思いますが、 時々は岸際からかなり離れた遠くのレーンを釣ることがあります。 そんな時、私はカーボンのハエ竿(オイカワ専用)を使っています。 持っているのが4.5mですので、それを2.7m、3.15m、3.6mの竿として使えるようなハカマを作りました。 この素材はグラスロッドの端切れです。 スゲクチ(差し込み部)の内径が合わない場合はすこし太い部分で切って、 内側に竹を差し込んで口径の調節をしています。 尻栓は竹の端切れで作っています。 使わなくなった古いグラス竿が手元にあれば、 それを利用してこんなハカマを作ってもよいかもしれませんね。 (2007年09月09日)
竹の端切れを使った「ハカマ」の構造と作り方を記します。 材料は自分の好みの太さの竹(未加工状態での内径が竿の尻の外径よりも大きい場合は少し細い竹が要ります)、 尻栓の軸に使うやや細い竹(ただし竿の尻の外径よりも太くなければなりません)、 割れ止めの目的で巻く糸(ミシン糸でOKです)、 合成ウルシやラッカーなどの塗料、エポキシ接着剤、 柔らかい木の端切れ(バルサや桐が適していますが割箸でもOKです)、 木蝋(パラフィンのロウソクでもOK)。 工具は、軍手、カセットコンロ、ノコギリ、カッターナイフ、アロンアルファ、 丸棒ヤスリ(ドリルビットがあれば作業が早いです)、平ヤスリ、サンドペーパー、です。
素材の竹を火入れして曲がりを取っておきます。 握りに竹のどの部分をどこに使うか決めたら、 使う部分だけでよいですから表面をキシャいでおきます (サンドペーパーで軽くこすって外側の表面を粗くしておいてもよいです)。 握りとなる竹を最終的な目的の長さプラス5mmくらいに切断します。 私は握りの長さを決める時は、ハカマを穿かせる元の竿の長さとハカマでのコミの長さを考慮して決めています。 例えば、元の竿だけの長さが143cmでコミを4cmとるとすると、 ハカマの長さを11cmにすれば、150cmの竿となります。
切り取った握りとなる竹全体に粗く糸を巻いて(加工時の割れ防止)アロンアルファで糸を止めておきます。 握りとなる竹の両側の木口からドリルビットや丸棒ヤスリで内側を削り、 中に差し込む竹の外径と合わせます。 握りとなる竹が細くて元々の内径が竿の尻の外径よりも小さければ、 握りの尻栓側だけでよいです。 握りの尻栓側は、後で最終的なコミ合わせをしますのでややきつい状態にとどめておきます。
竿とのコミ部分に使う竹や、尻栓の芯となる竹が、握りとなる竹に差し込めるか確認できれば、 尻栓となる部分をノコギリで切り離します。 新たな切り口(木口)は平ヤスリとサンドペーパーで滑らかにしておきます。 竿とのコミ部分に使う竹を、握りの中に差し込み接着します。 尻栓の芯となる竹を尻栓に接着します。 また、尻栓の芯となる竹の中には柔らかい木を詰めて穴をふさいでおきます。 接着剤は、エポキシ接着剤を使います。
竿とのコミ合わせをします。 目的の量まで一気に削り落とそうとすると失敗することが多いので、 おおよその量を削り落とした後は、慎重に少しずつ削って、 竿を差し込んでみて、また削って‥‥‥というふうにします。 竿とのコミ合わせが出来れば、尻栓の軸とのコミ合わせも行います。
握りの内側の加工が出来ましたら、外側を握りやすいような形に削ります。 カッターナイフで削って、平ヤスリを当てて、サンドペーパーで仕上げ削りという工程です。 割れ止めのために巻いていた糸は、この時点で外します。 割れ止めのために巻いていた糸を取り外した時には、竿、尻栓、共に差し込まないようにします。 握りが成形できれば、割れ止めと飾りを兼ねて糸を巻いておきます。 握り全体に巻くのは面倒だと思いますが、少なくともそれぞれの木口には必ず巻くようにしてください。 その後、塗りをかければ仕上がります。 内側には塗らない方が賢明です、木蝋を染み込ませておけばそれで充分だと思います。 (2007年09月10日)