私は、タナゴの棲息の必須条件のひとつだと思って、淡水二枚貝が棲息していないかどうか観察しています。 淡水二枚貝については興味はあるものの全くの素人です。 私はひとつだけ図鑑を持っていまして、それは2004年5月16日にお会いした紀平肇先生( 川つくり会議みえのサイトの画像です、別ウィンドウで開きます 、画面中央右でビールと箸立ての向こうに座っておられる白髪の紳士が紀平先生)他の共著書です。 その折りに記念講演の講師としてお見えになっていて、 図鑑の表紙裏の見開きにサインして下さっていましたのでいつまでも覚えています。
私がタナゴに興味を覚えたのも、
今から考えると紀平先生の講演を聴いたことが大きなきっかけになっているかもしれません。
私は貝の飼育にはあまり興味がありませんが、もし持ち帰る場合は水から上げて温度を上げないようにしておくと
よいらしいです。そういえばシジミやアサリはそういうふうにして食料品店で売っていますね。
しかし、現在では多くの種の淡水二枚貝がレッドリストに挙がっていることを考慮すると、
持って帰るのは貝殻だけにした方がよいかもしれません。
また、何故レッドリストに挙がってしまったか?を考えると複雑な気持ちになります。
私達の暮らしが豊かになればなるほど淡水貝類の暮らしが貧しくなるようです。
この図鑑に著者代表として紀平(きひら)先生がお書きになっている巻頭の言葉の最後の一節が印象的です
‥‥ (以下の一節は、日本産淡水貝類図鑑〈1〉琵琶湖・淀川産の淡水貝類、より引用)‥‥
『淡水貝類こそ身近にあってその環境変化を知らしめるものはない。近年は、淡水貝類が優れた環境の指標種であることが多く報告されている。半面、悲しいことに巻末にまとめたように、絶滅に瀕している種類は非常に多い。これを期に、淡水貝類についてもっと関心を持って欲しいと願う次第である。 2003年5月吉日 著者を代表して 紀平 肇』
このページでは、一箇所にどんな二枚貝が居たのか、あるいは同じ種だと思われる二枚貝のいろいろな写真を 地域で較べてみる、などというふうに編集してみたいと思っています。貝の種類については図鑑やインターネット で調べてみて「これでは?」と思えたものの名前を記載していますが、ひょっとしたらとんでもない間違いがあるかも しれません。(2006年12月11日)
左の2個は殻高が大きい |
初冬に、二枚貝の棲息調査にお付き合いした際に見せていただいたドブガイBタイプです。 写真では右側の2個体は図鑑に載っている見本のような殻の形です。 しかし、左側の2個体は図鑑ではドブガイAタイプとして載っている写真とそっくりです。 私はここのドブガイはAタイプとBタイプの二種類がいるのだなあと思いました。 しかし、混棲しているのに細長いBタイプの方が大型になっていました。 調査隊でも議論が始まりましたが、さすが隊長の北島さんは「グロキディウムを持っているか どうかを調べてみましょう」とおっしゃり、殻を少しだけ開いて見ておられました。 その結果、この両方とも初冬という時期に放卵間近に成熟したグロキディウムを持っていたので、 両方ともドブガイBタイプであろうということになりました。 もう少しちゃんと調べるには成熟したグロキディウムの大きさを調べるとよいらしいです。
中間の形のものも |
調査の為に一旦集めた多くの個体のドブガイからもう少し探してみると、この中間の形の殻のものもいました。 同じところに棲む、同じドブガイBタイプでも、こんなに違う殻の形をしていたのでした。 ドブガイのAタイプとBタイプを見分けるには、 殻の形だけでの判断では全くダメであるということがよく解かりました。 Aタイプが春から夏にかけての時期に1回だけグロキディウムを持つ(妊卵する)のに対し、 Bタイプは時期が決まっていなくて一年中繁殖するらしいです、また個体単位でみても 何回か妊卵するとのことでした。 さらに、グロキディア(グロキディウム1個体)の大きさの平均値も違うとのことです。
なお、ここに棲息していたドブガイの殻の内側は 別のコラム でご紹介しているように、 独特の色を呈していました。淡い紫がかったピンク系の色で真珠のような光沢でした。 このドブガイで淡水真珠が出来ないかと思ってしまいました。 (2007年06月24日)
2007年の1月は日本全国の各地でこの時期の最高気温の記録を塗り替えたようです。 1月末でしたがまるで春先のように温かく風も弱い穏やかな日に、 湖北地方の琵琶湖岸を散策してみました。 私の目的は、初夏から秋にかけてのカネヒラのポイントを見つけることでした。 なぜ真冬にそんな探索ができるのかといいますと、 カネヒラ自体を探すのではなく、冬の荒波で湖岸に打ち上げられた タテボシガイの貝殻の多い場所/少ない場所をしっかり見ておいて、 今後のタナゴ釣りの参考にするつもりなのです。 さらに、晩秋から冬にかけて琵琶湖の水位がマイナスになり数十cm以上減水し干上がる場所があるのに 加え、水の透明度も高くなりますので、岸に沿った部分でかなり広範囲の湖底の様子も観察しやすいためです。
砂利浜の石積みのそばの 水深20cmのところに |
イケチョウガイを発見 殻長189.8mm |
殻にふくらみが少なく 殻全体は平べったい |
小さな河川が流入している砂利と砂交じりの浜に小さな石積みがありました。 その付近にはタテボシガイの貝殻がかなり多く打ち上げられていましたので、 ここは夏場にカネヒラが釣れるかもしれないなあ! 水底はどうなっているのだろうか? と覗きこんだところ、大きな二枚貝が石にもたれかかるようにしているのを見つけました。 ドブガイよりも薄っぺらい形で、「メンカラスガイかな?」と思いながら 手に取ってみると、今までに見た メンカラスガイ とはちょっと殻の形が違いました。 メンカラスガイ同様に翼状突起が発達していましたが、 じっくり観察していると殻幅がやや薄くその割りに重みが感じられ殻の後ろ半分全体がなんとなく角ばっています。 『あっ、イケチョウガイ!』図鑑でしか見たことがない二枚貝と初対面できた日でした。 しかし、なんで? こんなところに? 水深20cmでした! この日の琵琶湖の水位はマイナス38cmでした。 また、今冬で一番水が少なかったのは先の12月初旬で、マイナス65cmでした。 その時はこの貝が居た場所は干上がっていたはずなのです。 図鑑の解説を読んだ記憶では水深1mから5mというかなり深い場所に棲息していたはずでは?
殻長を計ろうとしたら持参していたノギスのレンジを越えていたこと、また、 重さも計りたかったし、 家に置いてきた図鑑の写真ともじっくり見較べたかったので一旦持って帰りました。 計測してみると殻のサイズなどは、殻長189.8mm、殻高108.6mm、殻幅54.0mm、重量650gでした。 殻長に対する殻幅が28%程度しかなく、殻がかたちづくる全体の形が薄いことが数字でも解かりました。 擬主歯と後側歯を見たかったのですが、 生きているのをそれだけの目的で殺すことはできません。 この個体は来週あたりに、元のところへ返してやる予定です。 今後どこかの淡水真珠養殖場近くへ行った折りにでも、イケチョウガイの貝殻をもらえないか聞いてみましょう。 (2007年02月03日)
2007年の12月のある日、琵琶湖の漁港でタナゴ釣りをしていました。 晴天で無風でしたので暖かく気持ちがよい日でした。 しかし、まったく当たりが出ず、釣りをあきらめて付近の浜辺で貝殻ひろいをしていました。 ちょうど、以前に イケチョウガイ(1) の生体を見つけて再放流したところの近くでした。 当日の琵琶湖の水位はマイナス57cmとのとこでしたので再びイケチョウガイに出会えないか? と思って砂利浜を歩いていました。
イケチョウガイの左殻 殻長153mm |
今年の秋から初冬にかけての水位の変化が小さかったのか、今年は打ち上げられている貝殻の数が少なかったです。 そんな状況でタテボシガイ、オトコタテボシガイ、ドブガイ(ヌマガイ)、ササノハガイ、カラスガイ(メンカラスガイ)などの 貝殻を拾っているとメンカラスガイのようだけどちょっと角ばって丈夫そうな貝殻を見つけました。 手で持ってみるとメンカラスガイに比べて随分と分厚い殻で2倍くらいの重量感です。 洗って殻の内側を観察してみると、誰でもすぐに解かるくらいはっきりとした擬主歯と後側歯が見られました。 イケチョウガイの貝殻でした。 見つけたのが左殻だけだったので右殻もその付近にころがっていないかと探しましたが見つけられませんでした。 しかし、イケチョウガイの貝殻の内側が見られてとても嬉しかったです。 この殻は殻長が153mmで昨年見つけた生体(殻長189.8mm)のものでは無いようです。 滋賀県で絶滅危惧種とカテゴライズされてしまったイケチョウガイですが、 この付近で何個体かが繁殖を続けていてくれることを願います。 (2007年12月29日)
カラスガイ (2) ‥‥‥ こんなに大きくなるカラスガイ湖沼型(メンカラスガイ)
物差しは10cm。 | 後側歯があります。 |
カラスガイの湖沼型です、琵琶湖の巨大なメンカラスガイの殻です。 この貝殻は私が見つけたものではなくて、琵琶湖周辺の古池を調査されている時に出てきたものだとの ことでした、さらにその池の池主さんが昔琵琶湖で見つけて池で飼っておられたらしいので、 当時はこんな大きなメンカラスガイがいたというのを教えていただいた経緯のものです。 そして、この写真を送っていただいたのです。 お送りいただいた方に許可を頂戴して掲載している写真です。
この貝殻は左殻が大きく破損していたらしいので、 側面からの写真のサムネイル画像は左右反転して、左方向が殻の前になるようにしました。 クリックして御覧いただける写真は今回は横幅1000ピクセルになっています。 17インチモニタで1024x768ピクセルの解像度ですとほぼ原寸大だと思います。 びっくりするような大きさです。 殻を外側側面から見た形状でほぼメンカラスガイだと解かりますが、 決定的に解かるのは殻の内側の靭帯付近に後側歯と呼ばれる 刀の刃のような細長いエッジを形成している部分があります。 左側の写真を拡大したものにはその部分を楕円で囲ってあります。
今でも、琵琶湖のどこかにはこんなに大きなメンカラスガイが生きているのかもしれませんが、
この貝殻がずいぶん古いものであることを思うと、
昔の琵琶湖はいろんな意味で豊かであったろうと想像されて仕方ありません。
琵琶湖はもう昔の姿には戻れないでしょうが‥‥‥
(2006年12月11日)
ドブガイBタイプ (2) ‥‥‥ こんなに大きくなるのです。
ノギスの黒点は10cm間隔 | 歯がありません。 |
岐阜県のダム湖で拾ってきた貝殻です。 工事のために干上げたダム湖の最深部付近の泥底に大きな貝殻がころがっていました。 最初見つけた時は泥だらけになっていて「なに?これ!ドブガイのような形の大きな石が???」と一瞬思いましたが、 見直すとやっぱりドブガイの殻なのでびっくりしました。 私は、こんなに大きなドブガイの殻は初めて見ました。 私が見つける前に誰かに踏まれてしまったようで、殻の一部が欠けていましたが、 水で洗ってみたら、殻の縁の劣化変質がそうひどくなく、 おそらくちょっと前まで生きていた二枚貝の殻なのでは?と感じました。
左側の写真は殻の内部を撮影したものです。 擬主歯も後側歯もありませんでしたのでドブガイです。 また、同じダム湖で生きていた他の個体には妊卵中のものがありましたので、 ドブガイBタイプにほぼ間違いないようです。 ちなみに、この貝が棲息していたらしい場所はダム湖が満水状態では水深10m近い深場でした。 サイズはざっと計ったところ190mmx108mmx60mmでした。 図鑑では琵琶湖淀川水系ではドブガイBタイプの最大個体として淀川産で殻長 162mmと記載されていますので、それよりもはるかに大きいです。 なお、琵琶湖淀川水系でもAタイプだと殻長200mmを超えるものもあるそうです。 また、東北地方などではドブガイBタイプでもさらに大きく成長した個体が見られるらしいです。 (2006年12月11日)
琵琶湖本湖のもの | 岐阜県のある水系のもの |
ドブガイの殻の内側です。 左の写真は琵琶湖の湖岸で拾ったもの、右は岐阜県で拾ったものです。 どちらも、水が干上がったところで最近死んだドブガイの殻です。 殻の形が違うほかに、殻の内側の色がずいぶん違います。 左のものは普通によく見られるドブガイの殻の内側の色で白に近いやや青っぽい色です。 それに対して、右のものはあまり見かけない独特の色を呈していました。 淡い紫がかったピンク系の色で真珠のような光沢でした。 このドブガイで淡水真珠が出来ないかと思ってしまいました、 きっと綺麗な色の真珠が出来るんでしょうね。
ドブガイの内側の写真を掲載したついでなので、
左右二枚の貝殻が繋がっている付近を見て下さい。
ハマグリの殻なんかでやる「貝合せ遊び」の時に着目する殻の噛み合わせの部分がありません。
ドブガイは靭帯と呼ばれている柔軟な蝶番で繋がっているだけなのです。
ですから、ドブガイの殻では「貝合せ遊び」は出来ないのです。
(2006年12月09日)
背面から。 | 側面から、ドブガイかな? | 前面から。 |
洗って殻を開くと‥ | 擬主歯と後側歯が! | 擬主歯の部分の拡大。 |
ドブガイのようだけどちょっと変な貝です。 これ、ナニガイ?(4) の欄で、一番下に載せた謎の二枚貝の殻です。
ある池が干上がってまんなかあたりに少しだけ水が残っていましたので、 魚はいるのだろうか?タナゴはどうかな?などと思いながら覗いてみると 水が無くなってしまった池の周辺部に日干しになってしまったたくさんの二枚貝の貝殻がありました。 ほとんどがマツカサガイ、一部がイシガイかタテボシガイと思えるもの、 そして1個だけこの貝殻がありました。 細長いドブガイBタイプの個体変異だろうか?まさか、見たこともないフネドブガイと呼ばれているものか? などと思いながらも拾ってきたそのままの泥だらけの状態で何ヶ月も置いたままにしておきました。
タナゴ釣場の新規開拓もちょっと一休みして、このページの更新を考えている時に、 その二枚貝のことを思い出しました。 早速きれいに水洗いして観察してみますと、内側に歯があるではありませんか! ドブガイの仲間ではありません。 この貝殻を拾ってきた環境には、この他には マツカサガイとイシガイ(タテボシガイかも?)の二種しかいませんでした。 そのことを考慮してさっそくマツカサガイの擬主歯と見較べてみました。 殻を開いた正面(腹側の正面)から見ると少し擬主歯の形が違いましたが、 殻をひねくりながら、少し斜め前から見るとそっくりでした。 どうやら、この殻の持ち主は奇形のマツカサガイであったと考えられます。 殻頂部周辺に松笠模様も無く、殻がやや青緑色の光沢を呈していて、 殻表面の感触がドブガイのそれとそっくりでしたので間違っていました。
マツカサガイいろいろ | マツカサガイの擬主歯。 |
マツカサガイにもいろいろな形の殻を持つ個体がいます。 この左の写真はちょっと変わった形の殻から、 図鑑に載っているような標準的な形のもの(写真で右下)までを並べて撮ったものです。 いくら変な形の殻だとは云ってもまあ普通は左上の殻程度までだと思います。 尚、ここで掲載したマツカサガイの擬主歯の写真は、 腹側の正面からではなくやや前に寄ったところから後背に向かった方向を見た様子です。 (2006年11月27日)
後日、この欄の上の写真の変な貝殻をある方に見て頂いたら、 「手に持った感じではヨコハマシジラガイのような重量感です。 また、殻表面の様子も似ています。」とのことでした。 しかし、この貝殻を拾ったところは滋賀県でした、 滋賀県にはヨコハマシジラガイは分布していないらしいので、何がナニやら解からなくなってきました。 いずれにしても、擬主歯と後側歯がありますので、ドブガイではありません。 (2006年12月04日)
背面から見たところ 琵琶湖にて。 |
63.9mm 35.2mm 25.2mm 67.6mm 35.5mm 26.5mm |
前から見たところ |
琵琶湖でカネヒラがお世話になっているタテボシガイです。 平均的にイシガイよりも小さくて、殻の形はちょっと丸っこい感じです。 たぶん琵琶湖のカネヒラはタテボシガイの平均的なサイズの殻長5cmから6cmのものを利用している 可能性が高いと思います。琵琶湖ではそれくらいのサイズが一番多いのです。 この写真のタテボシガイは比較的大きな方で、この大きさは珍しい方だと思います。 写真の下の数字は、殻長-殻高-殻幅です。
タテボシガイは浅い場所で小石や礫や砂が混じったような底質の場所でよく見かけます。 琵琶湖の水位が±0という基準水位の状態で膝くらいの深さのところに多いような気がします。 イシガイと同じように這いまわる早さは早い方らしいのですが、 琵琶湖の水位が下がる時に石に突き当たったりして逃げ遅れたり、波で湖岸に打ち上げられたり しています。特に冬場はこのような状況になって毎年たくさん死んでしまうようです、 それでも琵琶湖ではいちばん数が多いイシガイ科の二枚貝だと思います。
2006年11月撮影(琵琶湖) タテボシガイの殻の変化 |
2006年11月撮影(琵琶湖) タテボシガイの殻の変化 |
タテボシガイの殻は同じところに棲んでいる群の中でも結構個体差があると思います。 図鑑に載っているような標準的と思われる形、 殻高が比較的大きく後背部が盛り上がったオトコタテボシガイに近いような形、 腹縁がヘこんで「への字」のような形のもの、 後縁が角張っているものや丸いもの、 など、いろいろです。 この写真の個体は全部生きていましたので殻の内側は見ていません、 中には オトコタテボシガイ も混じっているかもしれません。 写真は左右どちらをクリックしていただいても 拡大した2枚の写真をくっつけた同じ画像にリンクしています。 (2006年12月04日)
きれいな水の水路でした | これ、ナニガイ? |
お盆過ぎの残暑が厳しいある日、琵琶湖の西岸に流れ込む水路へ寄ってみました。 きれいなで冷たそうな水が流れる水路でした。 覗き込むとドブガイがちらほら見えました。 長靴をはいて水に入ってみました。 多くのドブガイに混じって1個体だけこの二枚貝を見つけました。 琵琶湖周辺だとタテボシガイということになるのですが、 前縁部の丸みや前縁部の背部付近で蝶番に続くあたりの感じがイシガイの殻とよく似ています。 さらに、こんな環境に棲むタテボシガイにしては割と大きめです。 水温が低めで水が澄んでいて結構流れがある水路ではタテボシガイの大きな個体は見たことがありません。 おそらく餌が乏しい関係だと思います、ドブガイも同じ様に小さめです。
すぐ上流で見つけた殻 | イシガイのような擬主歯。 | 上から見た右殻擬主歯。 |
その同じ水路の上流の土手に底砂といっしょに揚げられていた貝殻を見つけました。 やはりタテボシガイよりもイシガイに近いような形の殻でした。 擬主歯については左右とも大変薄く尖ったような感じです、 右殻の擬主歯の筋は上から見てやや斜め前方向へのものが見られ、 筋どうしは放射状というよりも平行に近い並び方でした。 琵琶湖やその集水域では近年確認されていないというイシガイですが、 私が出会ったこの二枚貝は、タテボシガイかイシガイか、いったいどちらなのでしょうかね? (2008年02月24日)
大阪府のワンドにて。 | 大きなイシガイ。 |
大阪府で見たイシガイです。 知人と待ち合わせてタナゴ釣りをしていましたが、 当日はどうもタナゴたちのご機嫌が悪かったようで、 全然釣れませんでした。 二人で場所を分かれて探ってみますがどうにもこうにも釣れませんでした。 まだ暖かい季節でしたがワンドの水は腐ったようになっていて、 タナゴ以外の魚もほとんど確認できず、 ワンド全体が死んでしまったような雰囲気でした。 相棒はどこで釣っているのかな?と合流しようと探していたら、 竿を放りっぱなしにして水の中に腕を突っ込んでこんなものを拾いあげていました。 大きなイシガイでした。 他にも貝はいましたのでタナゴが産みつける貝が無いからタナゴがいないのではなくて、 川が増水しなくなったから水が入れ替わらず、環境が一新されないというのが大きな原因のように思いました。 そりゃあ、こんな腐ったような水に棲んでいたら食欲も湧きません。 やっぱり一年に一回くらいは大水が出たほうがいろいろな意味でよいと思います。 災害が出ると困りますが、その一歩手前くらいの増水が欲しいです。 ちなみに、この大阪府のワンドというのは今やダム湖の内湖と化した淀川の城北ワンドです。 (2006年11月27日)
愛知県のワンドにて。 大きなイシガイ。 |
愛知県のワンドにて。 |
愛知県で見たイシガイです。生きていた貝ですので、殻を開いて見ていませんが、 たぶんイシガイです。玉網で泥底を探っているとその金属製の枠にコツンと石のように当たりました。 うまく網の中に入るようにすくい直して揚げてみれば、こんな大きなイシガイでした。 殻長80.6mm、殻高37.4mm、殻幅30.5mmでした。
手に取ってみると、やっぱり石のような重量感があります。 私はイシガイは石の多い川底に多いからイシガイだと言うのかと思っていましたが、 そうではないようです。どうも石のように重いからイシガイと呼ぶらしいです。 また、石や礫が多い川底よりも、どちらかというと砂泥底が好きなようです。 (2006年11月27日)
兵庫県のイシガイ 殻長14.5mm |
兵庫県のイシガイ 殻長45mm |
兵庫県のイシガイ 殻長70mm |
兵庫県で見たイシガイです。すべて河原に落ちていた貝殻です、
大きなものの殻は右殻ですが写真を左右反転させてわかりやすくしています、
また、片側だけですので蝶番が欠けている写真もあります。
イシガイの幼貝の殻には顆粒状のブツブツがいっぱいありますね。
最初の写真ではそれがよく解かると思います。
その顆粒はイシガイが大きくなるとだんだんと目立たないように成るみたいです。
成長した殻の部分(周辺部)にはほとんどブツブツが無く年輪のような弱い皺が見られるだけです。
しかし、幼貝時代のブツブツは殻の頂点を中心にそのまま残っているようです。
子供の時は綺麗な肌だったのに年寄りになると肌が荒れてくる人間とは逆なのですね!
[以前にブログで記載したことを整理し直しました。]
(2008年02月26日)
背面から見たところ 滋賀県湖西の小川にて。 |
左側から見たところ | 前から見たところ |
滋賀県湖西地方の小川でドブガイを探してみました。 小川と云ってもその上流部は田んぼの水路の役割をしています。 しかし、元々小川だったようで一年中水が切れることはありません。 田んぼの間を曲りくねりながら細く流れ、 水量が少なく干上がるのではないか?と心配するような部分にこの二枚貝を 見つけることが出来ました。 殻の形は典型的なドブガイのAタイプです。 計ってみると、殻長64.4mm、殻高47.0mm、殻幅29.4mmでした。 横から見ると丸い感じなのでマルドブガイかとも思われますが、 殻頂部が靭帯よりも突き出ていませんし、 殻長に対する殻幅もそう大きくはありませんのでドブガイAタイプのようです。
と、解かったようなことを書いていますが、 実は殻の形だけではドブガイのAタイプとBタイプを見分けることは困難らしいのです。 別のコラムに書きますが、 二枚貝の貝殻の形は棲息している場所によっていろいろと変化しているらしいのです。 同じ種でも群単位でいろいろな地方のものを較べてみると形が違います。 さらに同じ群内でも個体によっていろいろな形があります。 まるで、私達の顔のようです。一見同じようですが全部違います。 ドブガイはAタイプでも細長い殻となっているものや、 Bタイプでやや丸みがある殻を持つものもいるらしいのです。
ただ、今回のこの写真のドブガイが棲む小川には、 もう一種の 細長いタイプ(おそらくBタイプ) がいっしょに居ましたのでよく解かったわけです。 この二種は混棲しているとそれぞれの特徴がよく出るらしいです。 (2006年11月24日)
背面から見たところ 滋賀県湖西の小川にて。 |
左側から見たところ | 前から見たところ |
背面から見たところ 滋賀県湖西の小川にて。 |
左側から見たところ | 前から見たところ |
滋賀県湖西地方の小川に棲むドブガイです。 上段の個体と下段の個体は別のものです。 殻の形から推測するとドブガイのBタイプのようです。 同じ小川でもこちらのタイプはやや砂地の場所に多かったような気がします。
下段の写真の個体を計ってみたところ、殻長70.2mm、殻高41.3mm、殻幅29.5mmでした。 同じ小川の泥底で見つけたもう一種の ドブガイAタイプらしい種 と較べてみると随分細長いですし、 同じ種類だと思われるいくつかのものはこの個体よりもさらに細長いものがありました。
しかし、別のコラムに書きましたように、私は、 これがドブガイのBタイプである確固とした証拠を持っているわけではありません。 同じ小川にタイプの違う二種類がいて、こちらが細長いからドブガイのBタイプかな? と思っている程度です。 確実に調べるのなら何個体か飼育でもしてみて、 繁殖期がいつなのかを観察しなければならないようです。 ドブガイAタイプが年に一回しか繁殖しないのに対し、 ドブガイBタイプは何回も繁殖するらしいです。 (2006年11月24日)
滋賀県、湖北の湖岸にて。 砂/小石底にいました。 |
滋賀県、湖北の湖岸にて。 吸出水管付近の拡大。 |
背面からの姿。 幅が大きいです。 |
側面からの姿。 たぶん、マルドブガイ。 |
2005年9月の初旬に琵琶湖北部の砂が多い湖岸に入ってみました。 タナゴ釣りをしていて、カネヒラの研究をされている方と出合って、 カネヒラの産卵状況を調査されるとのことでしたので、いっしょに二枚貝を拾い集めていた時の写真です。 上側の2枚の写真はそれぞれ別の個体です。 左側の個体を取り上げて写したものが下側の2枚の写真です。
砂底の一部に小石がかたまっている部分があり、小石にもたれかかるように殻を半分くらい潜らせている
二枚貝がいました。その状態を写真に撮ってから、貝を手に取ってみました。
殻長の割りに殻幅が大きなドブガイでした。
殻頂付近は削れて大きな面積で白くなっていました。
手で持ってみると「まあるい感じ」で普通のドブガイよりも重く感じました。
側面から見るときわだって丸くは見えませんが、殻頂が靭帯よりも上に突き出ていますので、
たぶんマルドブガイだと思います。でも、ちょっと自信がありません。
ちなみに、この日の琵琶湖の水位はマイナス30cmで、この貝は膝から太股くらいの深さのところにいました。
(2006年11月22日)
滋賀県湖北の水路。 | 変わった形の殻でした。 |
滋賀県湖西の小川。 | 湖西の小川にもいました。 |
滋賀県で見つけた、ドブガイのようだけどちょっと変な貝です。 一番上のものは細長いドブガイBタイプのような二枚貝がいる水路で見つけました。 殻が茶色くなっているのは水路の水に鉄分が多いためだと思います。 普通によく見かけるドブガイBタイプと比較すると、 殻の後ろ側がなんとなく変な形です。
二段目のものも同じ様な形をしていますが、付近で見つけた二枚貝に たくさんのドブガイのBタイプがいましたので、それの個体変化だと思われます。 4体写っている写真では左上の個体がこの水域では一番平均的な形で、 その他はすこしずつ変化しているようです。 屍骸の殻を探して点検してみたところ、殻には歯がありませんでしたので、そのようでした。
干上がった池。 | 池で拾った変な貝殻。 |
三段目の二枚貝もよく似た形ですが、実は、これが私には大問題なのです。 数ヵ月くらい前に干上がった池で泥だらけの貝殻を拾ってきました。 他種の二枚貝の多くの貝殻に混じって、別種だと思えるこの貝殻が1個だけ 見つかったのです。持って帰って、 しばらく泥が付いたまま庭先に転がしておいたのですが、 気になって洗って点検してみました。 上の二つの写真のもの(たぶん同じドブガイのBタイプ)とは全く違いました。 後日、別のコラムで書きます。 この貝殻には外側から見ただけでは想像すらできなかったモノが付いていました。 (2006年11月25日)
赤い丸印の二枚貝は? | 下の3体には松笠模様。 | 殻頂部の拡大。 |
滋賀県湖西地方の二枚貝です。 ●印を付けた二枚貝がなんという貝か調べてみました。 画像では比較している二枚貝の大きさ(画面上での殻長)をそろえるようにレタッチして貼り合わせています。 大きさが違いますが、とりあえず殻のサイズを計ってみました。 ●印を付けた二枚貝の殻の大きさと、 下の方のドブガイらしい二枚貝(●印)の殻の大きさは、下の表のようになりました。 数値(実際の長さ)が違うと比較し難いので殻長を基準とした割合も並記しました。
個体区分 | 殻長 | 殻高 | 殻幅 | |||
●印 | 55.2mm | (100.0%) | 32.1mm | (58.2%) | 20.9mm | (37.9%) |
●印 | 70.2mm | (100.0%) | 41.3mm | (58.9%) | 29.5mm | (42.0%) |
殻のサイズだけではどうもよく解かりません。 背から見たところでは殻がいちばん膨らんでいるポイントがちょっと違うようです。 また、側面から見ると、後縁の形もすこし違います。 同じところにいるマツカサガイにもよく似た殻を持つものがいました。 しかし、●の二枚貝にははっきりと解かる松笠模様が確認できません。 殻頂部が大きく削れたようになっているので松笠模様が削れてしまっているのかもしれません。 ただ、この殻頂部のえぐれは、ドブガイらしい二枚貝のものとは比較にならないくらい たいへん深いものでした。
同じ川で拾った貝殻がいくつかありました。 その貝殻の中に上記の生体が持つ殻と同じ様なものがありましたので、 その貝殻の内側を見てみました。 すると、 ●印のものと似たもの(◯印)には擬主歯と後側歯があり、 ●印のものと似たもの(◯印)には擬主歯も後側歯もありませんでした。 ●印のものはたぶんマツカサガイです。 他の川や水路で拾ってきたマツカサガイの擬主歯とよく似ていました。 茹でて剥身にし、残りの殻の内側を見なくてもよさそうです。 今度行く折りに逃してやることにします。 この小川には、いつもよく見るマツカサガイよりも変形した殻を持つものが多かった のでひょっとしたらニセマツカサガイかもしれませんが‥‥‥ (2006年11月25日)
福井県の水路にて。 | 重い貝殻でした。 |
福井県の水路の傍にころがっていた貝殻です。 どうも、水路掃除の際に砂利といっしょにかき揚げられてそのまま昇天してしまった貝のぬけがらのようでした。 もう何年も前の貝殻のようでボロボロになりかけていました。 しかし、手で持ってみると貝殻の大きさの割りに結構重みを感じました。 同じ貝で生きているものを見たかったのでその水路を覗いてみましたが、 水草も泥も砂も砂利もなんにも無い水だけが流れているコンクリートの三面張りの水路で この貝の生体を見つけることは出来ませんでした。 水路に流す水を取水している河川に棲んでいたものが流されてきていたのかもしれません。
殻の縁がボロボロと欠けていましたが大きさを測定してみました。 殻長80.0mm、殻高49.8mm、殻幅32.8mmでした。また殻の重さは53gでした。 ずいぶん持ちおもりがしましたのでちょっと点検してみました。 殻の形はマツカサガイとたいへんよく似ていますが、 同じような形のマツカサガイの貝殻と比較してみて、殻長を3乗した数値の比と 実際の殻の重量の比とを比較してみたところ、やっぱりこの二枚貝の殻の方が重かったです。 しかし、殻の内側を見て擬主歯をじっくり観察すると、マツカサガイのような気がします。 でも、長さ8cmのものは初めて見ました。 (2006年11月25日)
滋賀県、湖北の湖岸にて。 背から見たところ。 |
滋賀県、湖北の湖岸にて。 右側から見た姿 |
滋賀県、湖北の湖岸にて。 殻の内側。 |
滋賀県、湖北の湖岸にて。 前後からの姿。 |
琵琶湖の北側の湖岸へ貝殻探しに出かけた時に見つけたものです。 その時はタテボシガイとマルドブガイの殻の形がいろいろあるなあと思いながら、 それらの貝殻を拾い集めていました。 何個かの代表的な形と個体変異のサンプルの形だと思える目的の種類の貝殻を得て後、 他にどんな貝殻があるのか観察していました。
砂に半分埋まっている分厚そうな大きな貝殻が目に留まり、それを堀り起こして洗って持って帰ってきました。 これが、その貝殻です。 殻長149mm、殻高110mm、殻幅62mm、殻の重量は140gでした。 殻の厚みも計りたかったのですが適した測定具が無くてあきらめました、 しかし、殻の重量から推測すると分厚い方だと思います。 殻が、その大きさの割りに随分と分厚く重いので、ドブガイやカラスガイの仲間では無いとは思うのですが、 いったい何という種類の貝なのかサッパリ解かりません。 パッと見た時は背縁に翼状突起が少し見られ分厚い貝殻だったので 琵琶湖固有種のイケチョウガイかとも思いましたが、 イケチョウガイにあるはずの擬主歯と後側歯は見られませんでした。 これ、ナニガイ?(2006年11月21日)
擬主歯と後側歯は見られなかったというのは私の観察不足でした。 擬主歯は無かったですが、後側歯はちゃんとありました。 貝殻を開ききってしまうと割れそうでしたので見難く見逃していました。 後日、同じ砂浜で同様の貝殻を数個見つけ観察した結果、これがカラスガイの湖沼型で、 「琵琶湖ではメンカラスガイと呼ばれている型」であることが解かりました。 大きな貝殻を見つけた時は、擬主歯や後側歯の有無で判別してみて下さい。 ドブガイの仲間には擬主歯も後側歯も無いらしいです。 カラスガイの仲間には擬主歯は無いが後側歯は有るとのことです。 また、イケチョウガイには擬主歯と後側歯が両方ともちゃんと付いているらしいです。 (2006年11月28日)
カラスガイ (1) ‥‥‥ カラスガイ湖沼型(メンカラスガイ)
殻長144、殻高99、殻幅59 滋賀県、湖北の湖岸にて。 |
殻長141、殻高99、殻幅62 |
殻長123mm、殻高90mm 殻を濡らして撮影 |
カラスガイの湖沼型です。琵琶湖ではメンカラスガイと呼ばれています。 採取した貝殻は数個あったのですが、片方の殻だけだったり、殻が割れたり欠けていたりしているものばかりでした。 特徴がはっきりしていてかつ両殻が揃っているものは拾えませんでした。 何日か前に拾ったものは翼状突起が小さくて特徴がはっきりしていませんでしたし、 私自身がカラスガイというものを見たことがなく、殻がドブガイよりも分厚いということも 知らなかったのです。 今回見つけた貝殻はこのような形をしていました。 翼状突起とは殻の頂点から後方(写真では右方向)に向かった後背部に翼のような感じで 薄く伸びている部分のことを呼ぶらしいです。写真では殻の一番上の三角形の部分です。
後背部に顕著な翼状突起。 殻長110mm、殻高79mm |
左殻の内側。 |
左殻の後側歯。 (擬主歯はありません) |
翼状突起が顕著にみられる殻がありましたので、内側も撮影してみました。 この写真では翼状突起の部分だけ内側が白くないので、 その部分にはカルシウム質の殻が出来ていないかに見えますが、褐色の色が着いているだけで 実際はその翼状突起の部分も硬い殻になっています。左右両方の殻を繋いでいる靭帯もその頂点までの長さがあるようです。 見分けるポイントのひとつの後側歯の写真は左殻だけのものです。 イケチョウガイのように擬主歯があるとすれば後側歯の前方に位置しているはずですが、全くなにもありません、 その部分はつるんとしていました。 (2006年11月28日)
発達した翼状突起。 2006年12月 |
何週間か経ってから、再び同じ浜を訪れてみました。 その間に何日も荒れた日があったので、また新たに貝殻が波で打ち上げられていないか? と思ってのことでした。 当日も少し北西の風が強くて波が荒くて湖内も濁っていました。 波打ち際から2mくらいの幅の浜は打ち寄せた波の影響で以前に訪れた時とは変わっていました。 ふたたび貝殻が打ち上げられていました。 そんな貝殻の中にこの小さなものを見つけました。 図鑑で見たことがあるイメージでした、カラスガイの幼貝のものです。 翼状突起が顕著に発達しています、 後背部(写真では右側)だけでなく前背部にもある程度の翼状突起がありました。 (2006年12月18日)
こんなに高い翼状突起。 2008年2月 |
2008年の2月のある日、再び同じ砂浜にふらっと寄ってみました。 琵琶湖の水位は晩秋から初冬にかけて大きく減って、 その後は日本海側の気候地帯の特徴で冬季にそこそこの降雨降雪があり、 水位がやや上がってきていました。 季節風による荒波で岸近くにある貝殻は砂浜に打ち上げられています。 そんな貝殻の中にふたたびメンカラスガイの幼貝の殻を見つけることができました。 今度は前回よりも一回り大きな殻で、後背部の翼状突起はかなり発達していましたが、 前背部の翼状突起はほとんど見えない状態でした。 メンカラスガイの幼貝では大きくなるにつれて前背部の翼状突起が消えてゆくように思いました。 (2008年02月23日)
どこを計るのだろうか? (画像はタテボシガイ) |
靭帯の向きが基準となる とのことです。 |
私は今年の9月上旬から11月上旬までの2ヶ月間、 今年生まれと昨年生まれのドブガイ(殻長33.2〜43.9mm)を飼育してみました。 その期間にドブガイがどれくらい成長するか確かめたかったのです。 3Lの砂、川の底石から採取した硅藻類が含まれていると思われる垢を少々、 それに止水に棲み浮遊する珪藻が含まれていると思われる暗い時間帯の溜池の水15L を入れて全く換水せずに12体のドブガイを飼育してみました。飼育テストは日陰に置いたタンクと 日向に置いたタンク、シリカゲル10gを添加したタンクとそうでないもの、4槽に分けて 合計で48体を飼育しました。
この2ヶ月間で死んだドブガイは1体も無かったのですが、 48体全部の平均サイズはほとんど大きくなっていませんでした。 殻長で100.23%、殻高で99.04%、殻幅で100.15%のサイズアップ/ダウン?でした。 さらに、殻長x殻高x殻幅というものの数値では99.41%でした。 たぶん、飼育密度が大きくエサの補給をしなかったのでドブガイは死にこそしませんでしたが 成長は出来なかったようです。また、殻の大きさを測定する時にノギスの当て方が一定でなく 測定に大きな誤差があったのかもしれません。 飼育個体個々のサイズを飼育当初と2ヶ月後の2回測定した結果は、 Microsoft Excelスプレッドシート にまとめました。数字ばかりでおもしろくありませんが 興味のある方は御覧ください。 >> anodonta-b.xls(25Kb)
二枚貝の殻の大きさを表すのに、殻の前後長、殻の上下高、殻の左右幅、をそれぞれ 殻長、殻高、殻幅と言ってその数値を使います。 殻の大きさを自分で測定してみてどこにノギスを当てるのか迷いました。 つまり、ゆがんだ円盤形である二枚貝の殻にノギスを当てる際に 少しでも傾けるとすぐに測定数値が変わってしまいます。
その後、計測の仕方を教えてもらったら『左右の殻をつなぐ蝶番の部分(靭帯)の向き を基準にして、殻の縁が接し、その基準線に直交する2つの平面間の距離が殻長である』ということが解かりました。 また、殻高と殻幅についても殻長を決定づける2つの面とそれぞれ直交する面を殻が接する位置に置いて その距離を計ることで得られるらしいです。 上の写真を撮影する際は貝殻をベタッと180度に開いてその対称軸のようになった靭帯のところに 基準線などと書きましたが、生きている二枚貝の場合はどうするんでしょうかね? (2006年11月21日)
以前に岐阜県で見た オバエボシガイ |
最初の写真は、以前に岐阜県のあまりきれいではない河川で見たオバエボシガイです。 オバエボシガイは数がたいへん少なくなっているそうで、私は、この二枚貝は他の二枚貝よりも水質汚濁に敏感なので 水が悪いと生きてゆけないから減ってしまったのだと思っていましたが、そうでも無いようです。 山から流れでてすぐの上流域はきれいな水が流れる川でしたが、 下水がいっぱい流れ込んでいる川のようで、下流へと下るにつれ急激に水質が悪くなっているような川でした。 タナゴが棲んでいるので当然二枚貝も居るとは思っていましたが、 この日に調査されている方に見せていただいたものです。 オバエボシガイは河川では、他の種の二枚貝と混棲していて単独でみられることはほとんど無い、と図鑑に載っていました。 これを見せてもらった川には、この他にもいろんな二枚貝がいるのかもしれません。
やや濁った水の水路 | これ、ナニガイ? |
本題は下の方の写真の二枚貝です。 真冬にタナゴ釣りをしていたある日でしたが、あまりにも釣れないので釣りは中止して どんな二枚貝がいるのか調べていた時でした。 やや濁った水が流れる普通の水路に入って一歩も動かずに手が届く範囲でどんな二枚貝が何個体いるか調べてみました。 ドブガイが3、ササノハガイが3、シジミ(たぶんマシジミ)が3、カタハガイが1、タテボシガイ(死殻)が1、マツカサガイが9、 そして、この変な二枚貝が2でした。 手で掴んだ最初は「へ〜、こんなところにオバエボシガイが居るんだ!」と思いました。 なにせ、泥まみれ状態では横からのシルエットはオバエボシガイにそっくりでした。 指先でクリクリと水で洗ってみると殻頂部の周囲に松笠模様があります、 「オバエボシガイに顆粒なんかあったっけ?」と思いながら触り続けると殻幅が比較的小さいのです、 目を瞑って触るとマツカサガイと同じ感じです。 念のためにその場のマツカサガイも全部きれいに洗って並べてみると、 殻の形が段階的に個体間で変化しているのを確認できて、この謎の二枚貝がマツカサガイであ るとやっと解かりました。 (2008年02月24日)
滋賀県、湖北の水路です。 タナゴ居ないかな? |
水路の底は黒い石‥‥ のように見えましたが |
なんと!石に見えたのは 全て二枚貝です! |
手ですくってみると、 全てマツカサガイでした。 |
5月の中旬になって気温水温ともに暖かく安定してきましたので、タナゴの新規ポイントを探して歩いていた時です。 水路が河川に合流する手前でアブラボテを見つけました。この水系では初めて出会ったタナゴでした。 そこで、水路の上流のどのあたりまでタナゴが棲息しているか探ってみることにしました。
車で走って、自分の足で歩いて、また車に乗って‥‥と繰り返しながら3km程上流まで行きました。 水路の下流は幅1.5mくらいだったのですが、ここまで来ると幅は40cmくらいになってしまいました。 しかし水深は20cmくらいあります、これだけ水があればアブラボテなら大丈夫です。
「さあ、アブラボテが居るだろうか?」と水路をのぞきこんでみると魚の姿は見られませんでしたが、水路の底が 碁石のような形の暗褐色の石で敷き詰めたようになっていました。二枚貝のようにも見えます、「エッ」 と思ってもう一度見ると全部貝に見えます。大きさは直径1cmくらいから3cm程度まででそんなに大きくは ありませんが、やっぱり貝です! 手を突っ込んですくってみると石はひとつも無く砂ばかりで砂の中や砂の表面 に二枚貝がビッシリ居ました。全てマツカサガイでした。このような状態でシジミが棲息しているのは何度か 見たことがあるのですが、マツカサガイでは初めてでした。
マツカサガイって、確か滋賀県では「希少種」よりも少ない「絶滅危機増大種」だったハズでは? まあ、しかし、こんなにたくさん一箇所に居るのは確かに珍しいと思います。 ここと同じ環境をあちこちで取り戻すようにしなければいけませんね! 結局、ここではアブラボテに出会えませんでした。こんなに貝が居るのに! (2006年5月14日)
水路の底の二枚貝を観察 |
小石底にいたカタハガイ |
タナゴ釣りをしていても、この二枚貝にはあまり出会いません。 今までに9箇所で見ましたが4水系だけです。この二枚貝はカタハガイです。 水がきれいなところでしか生きられないとのことで、この左の写真のような小石や礫が多い川底で見られます。 しかし、実はこの写真の場所はコンクリートを打った三面張りの水路でした。 したがって、コンクリートのパネルやフレームを組み合わせて作った水路にあるのような パネルの継目のすき間や小さな段差さえ無いところでしたので、 水路の底のほとんどは滑らかなコンクリート面が直に見えていました。 が、幸いなことに土手からころげ落ちてきた石や上流から流れてきたと思われる砂礫が底に厚み数cm堆積している部分 が少しだけあり、カタハガイはそこに棲んでいました。 同じ場所に、ドブガイ、タテボシガイ、マツカサガイ、ササノハガイも見ることが出来ました。 普通にみられるカタハガイの殻長はせいぜい数cmでそんなに大きな貝ではありません、 環境がよいところだと8cmくらいには成るらしいのですが、そんな大きな個体はまだ見たことがありません。 また、石が全く無い場所で見掛けの比重が高いコッテリした緻密な泥の底に棲んでいることもありました。 そちらで一緒に棲んでいた二枚貝はドブガイでしたし、水もやや泥濁り気味でした。 流れが穏やかな環境で泥底にいたものは、日当たりのよい場所にも点在していましたが、 流れが早い水路の小石底にいたものは、側壁の際やちょっとした穴のようなところに集中して入り込んでいる 場合が多いようです。
左側から見たカタハガイ |
背面から見たカタハガイ |
泥底にいたカタハガイ |
擬主歯と弱い後側歯 |
カタハガイにも擬主歯と後側歯があるそうですが、パッと見では後側歯があるようには見えません。 二枚貝の歯というのは左右の殻のその部分が噛み合わさる部分で鋭いエッジを持つのだと思うとダメなようです。 カタハガイの後側歯は殻の縁が少し分厚くなっているだけのようです。 また、擬主歯も後側歯も単純な形でツルンとしていてとても滑らかです。 カタハガイという和名は、擬主歯と後側歯の内で、 擬主歯片方だけしか持たない貝だ(はじめて見たらだれでもそう感じます)という意味で、 「片歯貝」がその由来らしいのです。でも、「滑らか歯貝」というのもエエのではないでしょうか?
カタハガイは同じ様な環境に棲む二枚貝の内では足が速い方らしいのですが、種としては一番絶滅に瀕した状態らしいのです。 たぶん水質の問題だと思いますが、毎年かき揚げられてしまうような水路ではなくて、 もっと安心して住めるところに棲めばよいと思います。 でも、川は私達が三面張りにしてしまった区間が多いので仕方なしに水路に棲んでいるのかもしれません。 しかし、私がこの二枚貝に出会った9箇所の内、5箇所は土手に砂礫や泥と一緒にかき揚げられていた殻を見つけて、 その棲息が解かったという皮肉な状況でした。 (2007年12月29日)
カタハガイ 後背部に放射状の肋 |
カタハガイ 殻側面にも顕著な肋 |
カタハガイの殻内面まで影響している肋の波うち、 2007年4月撮影、やや斜め下方から撮影しています |
今回は、二枚貝の殻表面の肋(ろく)と呼ばれる波うち模様についてカタハガイで観察してみました。 最初の写真は琵琶湖周辺の水路で拾ったカタハガイの貝殻です。 カタハガイでは、この殻のように肋は水滴が水面に落ちた時にひろがる波紋の一部のように、 カーブしながら放射状になったものが後背部に見られます。 その山脈のようになった肋と肋の間隔は、このような程度の個体が多いように思います。
二枚貝の殻の模様や形は同じ場所に棲息しているものでも個体間で変化があります。 最初の(上左の)写真のような殻を持つカタハガイが多い場所でも、 何個体かにひとつぐらいは殻の側面にも肋が見られる個体がいます。
次(上右)の写真は、琵琶湖淀川水系とは別の水域で拾ってきた貝殻です、 これもカタハガイのようです。 琵琶湖周辺の水路のものとの大きな違いは、 殻側面の肋が顕著に認められ殻の内側にもその波うちが出ているくらい深い(高い?)ことと、 後背部の肋についても間隔が大きくてしかもかなり発達していることです、 さらに、同水域で見た他の個体もほとんどのものがこのような概観を呈していました。 尚、上側の琵琶湖淀川水系のもの(左)、それとは別の水系のもの(右)、両方ともほぼ同じサイズ(殻長:約50mm)でした。 他の二枚貝、特に分布が広いドブガイでは、棲息している場所場所により殻の形がやや違って見えることが多いのですが、 カタハガイでは殻の模様?である肋についてこんなに違いがあるのに驚きました。 (2008年02月26日)
琵琶湖北部にて。 打ち上げられた貝殻。 |
琵琶湖北部にて。 同じ浜で5つの貝殻。 |
晩秋から冬にかけては琵琶湖の二枚貝の受難の季節です。 この時期の琵琶湖の水位はマイナス数十cmよりも下がり、 遠浅の砂浜などはずいぶん広く干上がっています。 しかもこの季節になると西風や北西の風が強くなってきます。 琵琶湖には大波が立って湖岸にザブーン、ザブーンとおし寄せます。
こうなってくると元々膝くらいの水深のところに棲んでいるタテボシガイの仲間の足の早さでも逃げられません。 二枚貝たちは最初は押し引きする水流でゴロンゴロンと湖底でころがり始め、 そのうちに波で浜に打ち上げられてしまいます。そして、何日間か雨が降らなければ日干しになってしまうようです。 とにかくこの季節は湖内で死んだ貝の貝殻といっしょに、生きている貝も打ち上げられてしまうのです。 毎年こんなことが繰り返されて、浜の一部は貝塚のようになります。 上の二枚の画像は、その貝塚のようになったところで見つけたオトコタテボシガイの貝殻です。
オトコタテボシガイ | オトコタテボシガイ |
オトコタテボシガイ | オトコタテボシガイ |
その後、生きているオトコタテボシガイが見たくて、貝殻が落ちていた付近の湖内に入ってみました。 湖内とはいっても水深10cmから15cmのところです。 一番多いのがタテボシガイ、次に多いのがマルドブガイ、その次がササノハガイ、 そして一番少ないのがオトコタテボシガイでした。 オトコタテボシガイは、砂礫に潜っている状態で見える部分でさえ、タテボシガイよりもずんぐりした形ですので すぐに解かりました。これは?と見えたものは、ほぼ当たりでした。 また、オトコタテボシガイは、イシガイやタテボシガイよりも手で持った時の重量感が大きかったです。 殻頂部は大きく削れたように窪んでいて、なかには殻側面にまるで向こうまで突き抜けているかに見える深い 割れ傷のような窪みを持つものもいました。それでも大丈夫なようで、貝殻はずいぶん分厚いようです。 私が見つけたものは殻頂部は大きく削れたようになっていましたが、幼貝ではその部分にマツカサガイのような 顆粒状のでこぼこ糢様があるらしいです。
オトコタテボシガイ。 背面からの写真。 |
オトコタテボシガイ。 側面からの写真。 |
オトコタテボシガイ。 前後からの写真。 |
今回見つけたオトコタテボシガイの内で、 横からのシルエットがマツカサガイにちょっと似ている個体を選んで、 四方向から写真に撮ってみました。 横から見るとタテボシガイを前後に潰したようなシルエットで、ちょっと長めのマツカサガイにも見えますが、 前後から見るとタテボシガイとほとんど同じシルエットで、マツカサガイよりも殻幅が大きいです。 ただし、貝殻にはやや重量感があります。 また、ほとんどの個体は上の方の写真のように後背縁(画像では右の方)の 曲率半径が大きくなっていて垂れ下がったような直線に近い曲線を描いています。 捕まえた時に舌のように殻から出ていた足の色はタテボシガイのそれと同じでした、 マツカサガイのような真っ白ではありませんでした。 (2006年11月22日)
2006年5月撮影(琵琶湖) 右殻の内側 |
2006年5月撮影(琵琶湖) 右殻の外側 |
琵琶湖で最もよく見かけるタテボシガイに混じってすこし形の違う二枚貝をたまに見つけることがあります。 いままでも2度見かけたことがあるのですがその時は個体差なのかな?と思っていました。 今回見つけたものは滋賀県湖西地方の砂浜に打ち上げられていた貝殻1枚(右殻)でした。 殻自体の大きさの割にやや重みを感じましたし、殻の形や内側の色目が同じ場所のタテボシガイと少し違うように 見えましたので持って帰って図鑑で調べてみました。 調べてみるとオトコタテボシガイであろうということになりました。琵琶湖ではオトコタテボシガイの殻表は マツカサガイのそれと似ていることが多いらしいのですが擬主歯や腹縁の形態の特徴で見分けることが出来るという ことが解かりました。
オトコタテボシガイ 右殻の殻裏 |
オトコタテボシガイ 殻表(元画像を前後反転) |
図鑑を見ていると専門用語がいっぱい出てきました。ここで私も格好を付けてそんな用語を使うように していますが用語の漢字表現だけではいったいどこの部分なのか解からないので自分なりに整理して みました。「前後、左右、背腹」については、二枚貝が這って進む方向が「前」のようです、その時に下になっている ところが「腹」のようです。腹這いになって匍匐前進する時の自分の姿を二枚貝に置き換えると すぐに解かります、これで「左右」や「背」「後」も納得できますよね。画像に記号を付した二枚貝の殻の 各部分の名称は下記のとおりです。
左側の画像中の記号 A: 擬主歯 (ぎしゅし) B: 後側歯 (こうそくし) C: 前筋痕 (ぜんきんこん)‥‥貝柱の付け根? D: 後筋痕 (こうきんこん)‥‥貝柱の付け根? E: 套痕 (とうこん)‥‥外套膜の付け根? F: 腹縁 (ふくえん) G: 後縁 (こうえん) H: 前縁 (ぜんえん) I: 靭帯 (じんたい)‥‥二枚の貝殻の蝶番? |
右側の画像中の記号 J: 殻頂 (かくちょう) K: 殻頂部 (かくちょうぶ)‥擦り減っている L: 前背縁 (ぜんはいえん) M: 後背縁 (こうはいえん) N: 後背部 (こうはいぶ) O: 背縁 (はいえん) P: 成長脈 (せいちょうみゃく)‥年輪状の線 Q: 殻長 (かくちょう) R: 殻高 (かくこう) |
(右):タテボシガイ (左):イシガイ |
(右):タテボシガイ (左):イシガイ |
タテボシガイとイシガイの擬主歯をじっくり見較べてみました。 今月になってから琵琶湖岸で拾ったタテボシガイの貝殻と、兵庫県の川で拾ってきたイシガイの貝殻です。 どちらもここ数ヵ月の間に死んだと思われる貝の貝殻で損傷が少なく、また、靭帯もまだ付いたままでした。 写真では右側がタテボシガイで、左側がイシガイです。
殻を外側から見た感じでは、イシガイと比較してタテボシガイの方がやや丸っこい感じです。 前縁(画像では下側の縁)の出っぱり具合や後縁(画像では上側の縁)の尖り具合については、 タテボシガイの方がおとなしい感じです。 また、殻の形全体についてはイシガイよりもタテボシガイの方が同じ場所に棲息する群内での 変化が大きいと思います。このタテボシガイの群内の個体を較べたものは別のコラムに書く予定です。
今回は、貝殻を開いて擬主歯の形状がよく解かるように撮影しました。 サンプルは両貝(右側:タテボシガイ、左側:イシガイ)とも タテボシガイとイシガイ(1) で観察した写真のものとは別の個体です。 擬主歯の噛み合わせが見やすい貝殻を少し開いた状態と、 擬主歯の厚みや擬主歯の頂部のすじが見やすい貝殻を180度開いた状態での写真です。 タテボシガイの擬主歯は私達の奥歯を、また、 イシガイの擬主歯は私達の前歯を、それぞれイメージするとよく解かるかもしれません。 それにしても「貝殻に歯」とは誰が名付けたか知りませんがうまく表現したものですね。 (2006年11月20日)
(上):タテボシガイ (下):イシガイ |
(右):タテボシガイ (左):イシガイ |
2005年9月撮影(琵琶湖)、 タテボシガイ |
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2005年5月撮影(岡山県)、 イシガイ |
今回は、全国区のイシガイと琵琶湖淀川区のタテボシガイとを較べてみました。 最初の画像はどちらも拾った貝殻です。同じくらいの大きさのものを比較すればよかったのですが、 概略はこれでも解かると思います。外側から見たところではタテボシガイの方が前背縁(画像で貝殻の左側の まるくなった部分)の出っぱりが少ないようです。
貝殻を開いて内側の様子も撮影してみました。靭帯(二枚の貝殻が繋がっているところ)の内側の後側歯(貝合せゲームで 一番合い難いところ)も少し違うらしいですが、私にはよく解かりませんでした。しかし、擬主歯(大きな画像で白丸の部分) の形状が全然違うのは一目瞭然でした。などと、講釈をたれておりますが、図鑑を片手にしてタイピングしております。
横長の画像2枚は、それぞれ生きている貝が水中に居るところを見つけた時点でそのまま撮影しています。 底質の違いがあることと、はい回っているのと止まっているのとの違いはありますが、潜り方がちょっと 違うように見えませんでしょうか?イシガイはあまりたくさん見ていませんが、琵琶湖で見るタテボシガイは 見つけたもののほとんどがこのようにチョット斜めになって潜っています。 また、自宅でしばらく飼ってみましたが、 多くのタテボシガイはグルーッと円を描くように斜めになって這いながら砂に潜りました。 (2006年4月05日)
2005年5月3日、岡山県の 河川にて[イシガイ] |
2006年3月19日滋賀県、 琵琶湖にて[タテボシガイ] |
2005年に岡山県で撮影したイシガイと滋賀県の琵琶湖のタテボシガイを較べてみました。 闇夜にギョロッと光る目玉のように見えるのは殻の頂点付近が流れる砂などで擦れて表層が剥がれた跡らしいです。 でも、流れがほとんど無いような場所でもある程度はこのようになっています。二枚貝の生理的なものが原因なのでしょうか?
また、同じ種類の二枚貝でもこの目玉模様にはずいぶんと個体差があるようです。 この目玉模様で貝の種類が見分けられないかなんて一瞬考えてしまいましたが、そりゃ〜ちょっと無理があるようです。 でも、岡山県のイシガイと滋賀県のタテボシガイは布団に潜る時の姿勢がちょっと違うような気がしました。それは また今度書きます。(2006年4月2日)
2005年09月16日、滋賀県 湖東の水路にて (145mm) |
2005年04月14日、滋賀県 湖西の小川にて (54mm) |
2005年09月16日、岐阜県 の中規模河川にて |
2005年xx月xx日、 拾った水系忘却 (117mm) |
2004年11月29日、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
2006年2月21日、右側: 三重県の中規模河川にて |
他の欄と重複している画像もありますが、ササノハガイの仲間をまとめてみました。 上段左のものは滋賀県湖東地方の水郷と呼ばれている地域の水路の脇の土手で拾いました、殻の一部が破損 していましたがずいぶん大きなササノハガイ(の貝殻)でした、殻長は145mmもありました。 上段右のものは滋賀県湖西地方の小川で見つけました。サイズが小さい(殻長54mm)からなのかどうか解かりませんが すこしずんぐりした形です。
中段左のものは岐阜県で見たものです。トンガリササノハガイかと思っていますが 同じ場所にオバエボシガイも居ましたのでひょっとしたら移入のササノハガイだという可能性もあるようです。 中段右のものはどこで拾った貝殻なのか忘れましたが、この形状なら図鑑で見るトンガリササノハガイ そのものです。殻長は117mmありました。
下段左のものは滋賀県湖北地方の水路に居たものです。上段左のものとほぼ同じ形状の殻です。 下段右のものは三重県で見つけた貝殻(画像内で右側)と琵琶湖の湖岸で見つけたもの(画像内で左側)とを 較べたものです。三重県のこの河川のものも殻の形状ではトンガリササノハガイかササノハガイかはっきりとは 解かりません。
私が参照している図鑑ではトンガリササノハガイとササノハガイは区別されており、トンガリササノハガイは 全国的に分布し、ササノハガイは琵琶湖水系の固有種だとされていましたが、研究者の方がWEBで公開されている 情報によると同じものだというふうに記述されていました。私はどっちでもよいのです、聞くところによると どちらにもタナゴはお世話にならないらしいです。 (2006年4月2日)
2005年5月10日、滋賀県 湖西の水路にて |
2005年5月11日、 拡大撮影 |
2005年5月11日、 拡大撮影(21倍) |
2006年3月19日 (10ヶ月後)同じ小川にて |
2006年3月撮影(同じ小川)、 10ヶ月でこれくらいに成長するらしい |
ドブガイが棲む水路にヨシノボリがたくさんいました。 ドブガイをタモ網ですくっている内に網にヨシノボリが1尾入りました。 写真を撮ってみました、チョコチョコ動くのでシャッターチャンスをつかめず28枚撮影した内の一枚です。 ヒレの先に白点病の病斑のようなものが付いていました、 背鰭や胸鰭にも同様についていましたが必ず鰭の先端なのです。 これって、ひょっとしたらドブガイの幼生のグロキディウムなのでしょうか? ちなみにこの水路の二枚貝はドブガイだけでした。(2005年5月10日)
その10ヶ月後、同じ水路でもう一度ドブガイを探してみました。長靴をはいて冷たい水に手を突っ込んで 2〜3平米の底の砂の中から片っ端にドブガイを拾い集めて大きさを較べてみました。すると3つのグループに 分ける事ができました。一番大きなグループは殻の長さが9cmから10cmくらいで色が黒く厚みもあります。 二番目に大きなグループは7cmから8cmくらいの長さでやや茶色がかった色でした。 一番小さなグループは4cmから6cm少々で茶色からモスグリーンのような色で比較的明るい色で殻の厚みも 殻の長さに較べて薄っぺらい感じでした。この画像のドブガイは一番小さなグループと二番目のグループの どちらに入れようか迷ったものです。
今回は一番小さなものでも4cmくらいでしたので、昨年のグロキディウム(単数はグロキディアと呼ぶらしいです) は10ヶ月で少なくとも4cmくらいには成長するようです。昨年ヨシノボリに付いていたものを飼育して確かめた わけではありませんが、こんな推測ができるかと思います。 (2006年3月19日)
2005年10月31日、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
2005年10月31日、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
これも滋賀県湖北地方の水路で見た二枚貝です。この水路(3)は下記の 湖北地方の水路(1) の上流域にある 水路ですが取水している河川は同じ水系です。しかし、ここで見つけたドブガイは随分と細長いタイプでした。
この水路には他の二枚貝も居ました。イシガイかタテボシガイと見られるものでした。私はイシガイとタテボシガイを 見比べたことがありません。どうも、蝶番になっているあたりが少し違うらしいのです。機会があれば見比べてみたいと 思っています。(2006年3月19日)
2004年11月末、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
2004年11月末、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
2004年11月末、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
こちらの水路にはシジミがたくさん居ました。この水路が川に流れ込んでいるところは数十cmの高さの段差が あります。その下流にはドブガイなどタナゴが利用する二枚貝が居るのですが、この水路はシジミ一色でした。
この場所でシジミを見つけたのは11月下旬でした。その時はほとんどが生きていましたが一冬越した翌春に 見に行ったらここのたくさんのシジミはほとんど死んでいました。生きていたのはほんの僅かでした。 水路の水温が低過ぎるためか水質が冬の間に悪くなるのか、詳しくは解かりませんが死滅回遊魚のような 生活をしているシジミだと感じました。このシジミは 、おそらく水路の取水口から流下してきてたまたまここに棲息していたのかもしれません。 大きなシジミは一つも見つかりませんでしたので、水路の底にとどまることが出来ずに水に押し流されているのかも しれません。ドブガイはシジミよりも見かけの比重?が軽そうですのでたぶん全部流されてしまっているのでしょう。
この水路の段差は下流から魚が越えられるような構造ではありませんでした。 この水路では生物たちも水と同じく上流から下流への一方通行なのでしょう。 (2006年3月19日)
2004年11月29日、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
2004年11月29日、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
2004年11月29日、滋賀県 湖北の水路にて撮影 |
2004年11月29日、滋賀県 湖北の水路にて |
滋賀県湖北地方の水路で見た二枚貝です。水路の底に突き刺さっているように定位する右上の貝と左下の貝を それぞれ水からあげて写真を撮影してみました。
右上の二枚貝はドブガイだとは思うのですが、殻がわずかに角ばっているように見えます。 この貝の種類はもうひとつはっきりしません。
左下の二枚貝は琵琶湖水系固有種のササノハガイのように見えます、 全国に分布するトンガリササノハガイとは少し違うらしいです。
右下の二枚貝も同じ水路で見つけました。 網で砂泥ごとすくったら上の2種類といっしょに入っていました。 マツカサガイかニセマツカサガイか?それともオトコタテボシガイか? この形態の二枚貝の同定はとても 難しそうです。(2006年3月19日)
自分で思っていた所より | 深い場所に多かったです |
大きな石、小さな石の | ガレ場に多くて意外 |
大きな石の庇にも | 水の中ではウロのはず |
ダム湖ではどんなところに二枚貝がいるのか知りたくて、 工事のために水が抜かれた機会に訪れてみました。 二枚貝の棲息調査をされている方の作業に協力しながら、 ダム湖でどこに二枚貝が多いか自分なりに観察してみました。 私は水深50cm以下の浅い場所に多いのだと思っていましたが、 水位が上下するダム湖ではもう少し深いところに多かったです。 写真では帯状に赤い色を着けた部分でした。
また、泥底ではなくて、大きな石がゴロゴロあってその石の間に少しの砂泥が溜っているところに多かったです。 干上がった状態でしたので、湛水状態ではもっと浅い場所にいた可能性も否定できませんが、 大きな石が多い場所であるということと、多くの個体は急斜面の途中の石の下側(斜面の下方向)の庇のようになったところの奧に 後部をこちら向けにした状態で入り込んでいましたので、 それらは幼生時代に脱落してからそのままその場所で大きくなったものだと思います。
また、驚いたことに、現時点での殻の大きさではとても這い込めないような浮石の真下には かなりたくさんの個体が入っていました。 さらに、ダム湖に沈む前の石垣の上部のすき間にも入っていました。石垣は傾斜が80度くらいありますので 浅場からも深場からも這ってゆくことは出来ないはずです。 ただし、殻長10cm以上の大きな個体はどちらかと云うと深いところで 急傾斜の部分からすぐ下の平坦な部分との境目くらいに多かったです。 おそらく、成長の途中で這っている最中に急傾斜のガレからころがり落ちて底で大きくなったのだと思います。 その境目から離れた平坦な砂泥底の部分にも比較的大きな個体がいましたが、 ぽつりぽつりと点在している状態で面積あたりの数はそう多くないように見えました。
水没した石垣の隙間 | こんなところにも! |
護岸際の置き石 | 石の下に潜り込んで |
普通なら、ドブガイの幼貝や小さなものが浅い砂地や砂泥底の所にもっと多く見つかるはずだと思って 探してみたのですが、極めて少なかったのです。 また、2年生や3年生くらいのドブガイが、水深1m程度のところの平坦な砂泥底にももっと見つかると思っていましたところ、 浮石の下や石の隙間とか空洞になったところの奧にしか居ませんでした。 ダム湖の構造としては、周辺部にコンクリート護岸が施されている部分が多く、 その部分では岸際からいきなり1m以上の水深となっていることや、 傾斜が緩い砂泥底の浅場自体が少なかったことも影響しているかもしれません。 実はこのダム湖にはコイが放流されていました。 たぶん、小さなドブガイは、コイに捕食されないようなところに入り込んだ場合にのみ生存できたのかもしれません。 それで、こんなところにしか見つからなかったという可能性が大きいと思いました。
これで、二枚貝がどのような場所に多いかがよく解かりました。
ヨシノボリが好きな場所のようです。グロキディアは鰭から
離れた以後はこのようなダム湖では移動し難いようです。
しかも、コイがいるダム湖では、大きな石がゴロゴロある場所で
ドブガイがコイに食べられてしまい難いような所に多く棲息しているようです。
これが解かったので初夏にはタナゴが爆釣できるかと思いましたが、
誠に残念なことに、このダム湖にはタナゴが居ないとのことでした。
ああ〜、残念!!
(2007年05月07日)