秋期に琵琶湖に流入する河川のいくつかで下のような「あゆ産卵保護水面区域」と表示した看板や「魚捕り禁止」と書いたノボリが見られます。 そして、よく読んでみると「すべての水産動物を捕ってはいけない」という旨のことが示されています。 いったいどういうことなのか調べてみました。
琵琶湖と琵琶湖に流入する河川の一部は、アユ、ホンモロコ、二ゴロブナの産卵繁殖を保護する目的で「保護水面」に指定されていたり、その他の水産資源の保護培養を目的として、区域と時期を定めて魚類などの採捕が制限されています。関係する法令等は漁業法、水資源保護法、滋賀県漁業調整規則、滋賀県内水面漁場管理委員会指示があります。タナゴ釣りに限らず魚釣りなどをする場合は充分知っておくべきことです、決まりを守ってこそ楽しい釣りが出来ると思います。以下に滋賀県内での魚類などの採捕禁止区域と時期を一覧表であらわします、内容は滋賀県遊漁の手帳と滋賀県漁業調整規則から関係すると思われる部分を抜粋したものです。カテゴリーは次の表のようになっています。
滋賀県内の採捕等禁止区域 | 関係する法令等 | リンク | 罰則 | |
アユ の保護水面 |
保護水面の指定に伴うもの | 滋賀県漁業調整規則第35条の2 | 1. | A類 |
フナ・モロコ の保護水面 |
2. | A類 | ||
水産動植物、 貝類など |
その他の採捕禁止区域 | 滋賀県漁業調整規則第42条 | 3. | A類 |
魚群の散逸行為、 水産動植物、など |
漁業法第67条、委員会指示54-2・3、11-3 | 4. | C類 |
罰則 A類 | 6月以下の懲役もしくは10万円以下の罰金または併科。 |
罰則 C類 | 1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金または拘留もしくは科料。 |
滋賀県では、アユ、フナ、モロコについて、その産卵を保護する目的で、"滋賀県漁業調整規則第35条の2"でそれら魚種を保護する水域が規定されています。 以下に、どこが?いつ?なにの?保護水面に指定されるか記します。
アユについては、毎年9月1日から11月30日までの期間に、塩津大川、石田川、天野川、犬上川、高時川、姉川、安曇川、知内川、和邇川、 の下流域での産卵が"保護水面の指定"により保護されています。河川の一部区間ではこの期間はアユだけでなく、他の魚も捕まえることができません。 すなわち対象魚の種類に関わらず釣りは出来ません。 なお、この"保護水面の指定"だけでは不十分ということで、後述の"滋賀県内水面漁場管理委員会指示"によって、同じく9月1日から11月30日までの期間は、 和邇川、真野川、野洲川、日野川、愛知川、宇曾川、芹川、余呉川、知内川、安曇川北流、鴨川、(重複河川については規制範囲が違うようです) の一部区間でも釣りは出来ませんし、水草採取もできません。
(保護水面)
滋賀県漁業調整規則第35条の2
水産資源保護法第15条第1項の規定によつて指定された別表第2に掲げる保護水面の区域においては、同表に掲げる禁止期間中、水産動物の採捕をしてはならない。
別表第2:
保護水面の区域 | 禁止期間 | 禁止内容 | ||||||||||||||
次に掲げる基点イと基点ロとを結ぶ線から基点ハと基点ニとを結ぶ線にいたる間の塩津大川の区域ならびに基点ハと基点ニを結んだ線の中点から半径200メートル以内の塩津大川河口および琵琶湖の水面
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
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次に掲げる基点イと基点ロとを結ぶ線から基点ハと基点ニとを結ぶ線にいたる間の石田川の区域ならびに基点ハと基点ニを結んだ線の中点から半径200メートル以内の石田川河口および琵琶湖の水面
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
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次に掲げる基点イと基点ロを結ぶ線から基点ハと基点ニとを結ぶ線にいたる間の天野川の区域ならびに基点ハと基点ニを結んだ線の中点から半径200メートル以内の天野川河口および琵琶湖の水面
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
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次に掲げる基点イと基点ロとを結ぶ線から基点ハと基点ニとを結ぶ線にいたる間の犬上川の区域ならびに基点ハと基点ニを結んだ線の中点から半径200メートル以内の犬上川河口および琵琶湖の水面
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
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次に掲げる基点イと基点ロを結ぶ線から下流の高時川の区域、基点ハ、基点ト、基点ニを順次結ぶ線から基点ホと基点ヘを結ぶ線にいたる姉川の区域ならびに基点ホと基点ヘを結んだ線の中点から半径200メートル以内の姉川河口および琵琶湖の水面
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
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次に掲げる基点イと基点ロを結んだ線から上流の基点ハと基点ニを結ぶ線にいたる間の安曇川の区域ならびに基点イと基点ロを結んだ線の中点から半径200メートル以内の安曇川河口および琵琶湖の水面。ただし、安曇川北流の区域を除く。
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
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次に掲げる基点イと基点ロを結んだ線から上流の基点ハと基点ニを結ぶ線に至る間の知内川の区域ならびに基点イと基点ロを結んだ線の中点から半径200メートル以内の知内川河口および琵琶湖の水面。
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
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次に掲げる基点イと基点ロを結んだ線から上流の基点ハと基点ニを結んだ線に至る間の和邇川の区域ならびに基点イと基点ロを結んだ線の中点から半径200メートル以内の和邇川河口および琵琶湖の水面。
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9月1日から 11月30日まで |
水産動物 の採捕の禁止 |
フナとモロコについては、毎年4月1日から7月31日までの期間に、近江八幡市と湖北町の一部 での産卵が"保護水面の指定"により保護されています。 同時期、同場所で、他の魚については規制されていませんので、タナゴ釣りは大丈夫でしょう。 ただし、後述の"滋賀県漁業調整規則第42条"による規制により、これら以外の場所で4月1日から7月31日までの期間に、フナとモロコ以外に 水産動植物の採捕の禁止が規定されていますので、注意してください。 そういった場所ではその期間はタナゴ釣りもできません。
(保護水面)
滋賀県漁業調整規則第35条の2
2 水産資源保護法第15条第1項の規定によつて指定された次の表に掲げる保護水面の区域内においては、4月1日から7月31日までの間、ふなおよびもろこの採捕をしてはならない。
保護水面の区域 | 禁止期間 | 禁止内容 | ||||||||
次に掲げる基点1、点ア、点イ、基点2を順次に結んだ線と湖岸線(琵琶湖基準水位による。)によつて囲まれた水面。
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4月1日から 7月31日まで |
フナ、モロコ の採捕の禁止 |
(保護水面)
滋賀県漁業調整規則第35条の2
3 次の表に掲げる区域内の葭(よし)が生育している水面においては、4月1日から7月31日までの間、ふなおよびもろこの採捕をしてはならない。
禁止区域 | 禁止期間 | 禁止内容 | ||||
次に掲げる基点1を通る真方位270度の線と基点2を通る真方位219度の線との間の湖岸堤西側法のり先から150メートル以内の区域および東浅井郡湖北町大字延勝寺地先の通称「奥の洲」と称される洲の湖岸線(琵琶湖基準水位による。)から20メートル以内の区域。ただし、同町大字今西字舟戸地先の今西舟溜り南側突堤先端の北角を中心とした半径120メートル以内の区域および余呉川大橋の橋脚基部西端を通る真方位223度の線と真方位283度の線により挟まれた区域を除く。
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4月1日から 7月31日まで |
フナ、モロコ の採捕の禁止 |
また、"滋賀県漁業調整規則第35条の2"の規定による効果を補う目的や、河川などでの人の行動が漁業へ影響を及ぼすことを防ぐ目的などで、 魚などの動物や水草など植物や貝類を捕まえたり採取してはいけない場所と期間や方法が定められています。 以下に、どこで?いつ?なにを?捕まえたらダメなのかの詳細を記します。
(禁止区域等)
滋賀県漁業調整規則第42条
別表第4の左欄に掲げる区域内においては、それぞれ同表の右欄に掲げる期間中は、水産動植物を採捕してはならない。
別表第4:
禁止区域 | 禁止期間 | 禁止内容 | ||||
次のア、イの各点を結んだ線と湖岸線とによつて囲まれた栗谷湾内。
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5月10日から 7月10日まで |
水産動植物 の採捕の禁止 |
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高島郡安曇川町大字四津川地先湖岸道路の金丸橋南詰湖岸側の親柱から真方位151度の線と同大字地先湖岸道路の堀川橋北詰湖岸側の親柱から真方位142度の線との間にある葭よしが生育している水面およびその沖合10メートルまでの区域 | 4月1日から 7月31日まで |
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犬上川筋犬上郡多賀町大字富之尾地先にある潅がい用井堰(通称頭首口)から上流70メートル、下流70メートル以内の区域 | 2月1日から 6月30日まで |
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姉川筋坂田郡伊吹町大字小泉にある発電所用水取入口堰堤から上流 70メートル、下流70メートル以内の区域 | 2月1日から 6月30日まで |
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高時川筋伊香郡木之本町大字古橋にある合同井堰から上流70メートル、下流70メートル以内の区域 | 2月1日から 6月30日まで |
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野洲川筋甲賀郡石部町大字石部古道にある石部頭首口から上流70 メートル、下流200メートル以内の区域 | 2月1日から 6月30日まで |
2 次の表に掲げる区域に設置されている浮産卵床から20メートル以内の区域においては、4月1日から7月31日までの間、ふなおよびもろこの採捕をしてはならない。
禁止区域 | 禁止区域の範囲 | 禁止期間 | 禁止内容 |
東浅井郡湖北町大字尾上地先にある大規模増殖場 | 浮産卵床から 20メートル 以内の区域 |
4月1日から7月31日まで | フナ、モロコ の採捕の禁止 |
草津市山田町地先にある大規模増殖場 | |||
野洲郡中主町大字喜合地先にある小規模増殖場 | |||
伊香郡西浅井町大字月出地先にある小規模増殖場 | |||
大津市衣川一丁目地先にある小規模増殖場 | |||
守山市赤野井町地先にある小規模増殖場 | |||
高島郡新旭町大字饗庭地先にある小規模増殖場 | |||
滋賀郡志賀町大字小野地先にある小規模増殖場 | |||
大津市比叡辻地先にある小規模増殖場 |
3 次の表に掲げる区域においては、4月1日から7月31日までの間、ふなおよびもろこの採捕をしてはならない。
禁止区域 | 禁止期間 | 禁止内容 | ||||
次の表に掲げる基点1と近江八幡市南津田町地先にある広域型増殖場 (以下この表において単に「増殖場」という。)の最も南に位置する離岸堤の南側の沖合側にある端点を結んだ線、増殖場の各離岸堤の沖合側にある各端点を最も南に位置する離岸堤の南側の沖合側にある端点から最も北に位置する離岸堤の北側の沖合側にある端点まで順次に結んだ線、基点2と増殖場の最も北に位置する離岸堤の北側の沖合側にある端点を結んだ線および湖岸線(琵琶湖基準水位による。)によつて囲まれた水域
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4月1日から 7月31日まで |
フナ、モロコ の採捕の禁止 |
4 4月1日から7月31日までは、新彦根港湾内(北側防波堤南端と南側防波堤北端とを結ぶ線内)および旧彦根港湾に至る水路の区域(通称新堀、通称高番および通称尾末町水路の水域を除く。)においては、竿釣および手釣以外の漁具または漁法により水産動植物の採捕をしてはならない。
禁止区域 | 禁止期間 | 禁止内容 |
新彦根港湾内 (北側防波堤南端と南側防波堤北端とを結ぶ線内) |
4月1日から 7月31日まで |
竿釣および手釣以外の漁具または漁法による水産動植物の採捕の禁止 |
旧彦根港湾に至る水路の区域 (通称新堀、通称高番および通称尾末町水路の水域を除く。) |
5 次の各号に掲げる点を順次に結んだ線と湖岸線とによつて囲まれた区域においては、貝類の採捕をしてはならない。
(1) 草津市下物町字烏丸にある観音堂の敷地の石垣の南東の角
(2) 前号に掲げる点から真方位219度629メートルの点
(3) 前号に掲げる点から真方位222度535メートルの点
(4) 草津市下物町字烏丸突端の南側石垣の南西の角
禁止区域 | 禁止期間 | 禁止内容 |
(1) 草津市下物町字烏丸にある観音堂の敷地の石垣の南東の角、 (2) 前号に掲げる点から真方位219度629メートルの点、 (3) 前号に掲げる点から真方位222度535メートルの点、 (4) 草津市下物町字烏丸突端の南側石垣の南西の角、 を順次に結んだ線と湖岸線とによつて囲まれた区域 |
周年 | 貝類の採捕の禁止 |
滋賀県内水面漁場管理委員会指示(および海区漁業調整委員会)というものがあり、その内にも採捕禁止などの指示が出されています。以下の二表は滋賀県遊漁の手帳からの抜粋です。罰則はC類ですので違反すると罪は重く罰金は大きいです。
委員会指示(漁業法第67条、委員会指示54-2・3、 11-3)
水域 | 禁止区域 | 禁止期間 | 禁止内容 | |
西の湖 | 近江八幡市・安土町地先、西の湖および同湖から琵琶湖に通ずる水路ならびに同湖周辺の水路 | 周年 | 貝類の採捕 の禁止 |
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- | 上流端 | 下流端 | - | - |
和邇川 | JR 湖西線鉄橋の上流端 | 川尻より沖合半径200mの線 | 9月1日から 11月30日まで |
水産動植物の採捕 の禁止 |
真野川 | " | |||
野洲川 | JR 琵琶湖線鉄橋の上流端 | |||
日野川 | " | |||
愛知川 | " | |||
宇曽川 | " | |||
芹 川 | " | |||
余呉川 | 国道8号線伊賀具橋の上流端 | |||
知内川 | 国道161号線知内川橋の上流端 | |||
安曇川北流 | 安曇川南流との分岐点 | |||
鴨川 | 国道161号線鴨川橋の上流端 |
水域 | 禁止区域 | 禁止期間 | 禁止内容 |
和邇川 真野川 日野川 愛知川 天野川 姉 川 高時川 大 川 知内川 石田川 安曇川 芹 川 田 川 他1箇所 |
各河川に設置されている やなの工作物上流50mから 下流の区域 (下流端はおおむね琵琶湖まで であるが、各河川ごとに詳細に 規定されている) |
漁具が設置 されている 期間 | 水産動物の採捕、 魚道の遮断、 魚群の散逸行為 の禁止 |
一生懸命タイピングやコピペして作ったページですが、滋賀県の水産課で同じようなものを2005年4月22日にアップロードされていました。
くやしいけどそっちの方が見やすいです。
編集している途中でそれが解かってちょっと力が抜けてしまいました。その内にもう少し見やすく編集しなおします。
(2005年8月27日)
ページのレイアウト変更にともない、記述内容を整理して見やすく解かりやすく表現したのですが、
滋賀県漁業調整規則は、平成18年3月13日と平成20年3月26日に改正されていました。
また、琵琶湖海区漁業調整委員会指示や滋賀県内水面漁場管理委員会指示も平成20年3月に更新変更されていました。
時間をかけて編集しなおしていたので、ガックリして、どっと疲れが出てきました。
とりあえず、この状態でページをアップロードしておき、その内に点検しながら修正編集します。
(2008年9月23日)