釣魚不全 / タナゴ釣り

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タナゴってなんだ?

タナゴを釣りをはじめようとしている私ですが、実はタナゴのことをよく知らないのです。 ものごころが付いた頃から小学生のころまでは、 自宅近くで手網ですくったりゴハン粒で釣ったりしてタナゴを捕って遊んでいました。 タナゴはボテとかボッタイと呼んでいました、その他に色ボッタイと油ボテがいました、 油ボテはそのものズバリの「アブラボテ」です。 色ボッタイはバラタナゴですが「ニッポンバラタナゴ」か「タイリクバラタナゴ」かどちらだったか解りません、 昭和35年ころに網膜に焼きついた映像はもうすっかりボケています。 しかし、現在でも私の住いの近くではタイリクバラタナゴは居ませんので子供のころに見た「色ボッタイ」は 「ニッポンバラタナゴ」であったのであろうと思いたいです。


その当時、母に頼みこんで一度だけタナゴを佃煮風に煮付けてもらい食べたことがあるのですが、 ずいぶん苦かったという思い出だけです。 小さなタナゴのハラの処理をするのを母が面倒くさいと嫌がったので私が処理しました、 そのとき解ったのはタナゴの腹腔は黒い膜で覆われていたということでした。 それ以降、私の中では「苦い」と「黒い膜」という二つがタナゴのイメージです。 タナゴの呼び名は、地方によっていろいろあるようです、中には「ニガブナ(苦鮒?)」という呼び方も あるようです。また、英語では Bitterling というらしいです、 こちらにも苦い(Bitter)という語が付いています。 きっと、英語圏の人も食べたことがあるのでしょう。


このように、かつてタナゴは若干の食生活とのかかわりがあったり、また、子供たちの遊び相手として、 私達の身近な魚のひとつだったようです。しかし現在では、地域によっては絶滅してしまったり、 あるいはその危機に瀕していたりしています。この数十年間の世の中は、私達人間の暮らしが豊かになればなるほど、 タナゴ達の暮らしが苦しくなるようなシステムになってしまっていたようです。 それは、ともかく、釣りの対象と考える場合には「いつどこでどのような仕掛けでどのような方法で竿を出すのか?」 ということへの理解が重要です、 そのためには相手のタナゴを知らなければ話になりません。


私の住んでいる滋賀県の水系にはどんなタナゴが棲息していてどんな生態なのか調べてみることにしました。


タナゴの種類

滋賀県のタナゴの種類は、滋賀大学湖沼研究所編「びわ湖」(1974年発行)によると、 アブラボテ、イチモンジタナゴ、カネヒラ、タイリクバラタナゴ、タビラ、バラタナゴ、ヤリタナゴ、 とのことでした。私が子供のころの遊び相手はアブラボテとたぶんヤリタナゴだったようです。 今回インターネットで調べてみると、日本のタナゴは現在は三つの属(アブラボテは科)に分類されているようで 種類はもっとたくさんあるということと「絶滅危惧種」や「天然記念物」(イタセンパラ、ミヤコタナゴ)になっている種もある ということがわかりました。日本に棲息している18種のタナゴの内9種が絶滅危惧種、その内2種が天然記念物、18種の内2種が外来種です。 下の表ではタイリクバラタナゴ(昭和17年頃に移植)とオオタナゴ(近年になってから霞ヶ浦水系に定着) がその外来種ですが、現在は他の種類の外来のタナゴもいるようです、 朝鮮半島、中国大陸、台湾、ヨーロッパなどから観賞用に持ち込まれたものが 逃げ出したか移植されたかして殖えているものもいるそうです、 また種の違うタナゴ同士の交雑種も存在するらしいです。


タナゴの分類 (I) コイ科タナゴ亜科
属名 標準和名 学名
アブラボテ科
Tanakia
ヤリタナゴ Tanakia lanceolata
アブラボテ Tanakia limbata
ミヤコタナゴ Tanakia tanago
バラタナゴ属
Rhodeus
ニッポンバラタナゴ Rhodeus ocellaus kurumeus
タイリクバラタナゴ Rhodeus ocellatus ocellatus
カゼトゲタナゴ Rhodeus atremius
スイゲンゼニタナゴ Rhodeus atremius suigensis
タナゴ属
Acheilognathus
ゼニタナゴ Acheilognathus typus
イタセンパラ Acheilognathus longipinnis
オオタナゴ Acheliognathus macropterus
カネヒラ Acheilognathus rhombeus
イチモンジタナゴ Acheilognathus cyanostigma
タナゴ Acheilognathus melanogaster
アカヒレタビラ Acheilognathus tabira erythropterus
キタノアカヒレタビラ Acheliognathus tabira tohokuensis
ミナミアカヒレタビラ Acheliognathus tabira jordani
セボシタビラ Acheilognathus tabira nakamurae
シロヒレタビラ Acheilognathus tabira tabira

備考:
(1) タナゴの種名(標準和名)からそれぞれのタナゴの画像が見られるページへリンクしています。
(2) 2007年に分類が変わりましたので一覧表を修正しました。


この下の表の「天然記念物」とか「国内希少野生動植物種」や「絶滅危惧(CR、EN、VU、NT)」 という文字を見ていると「タナゴって釣ってもええんかいなあ?」と思います。 天然記念物と国内希少野性動植物種に指定されているものは当然ダメで、 採捕が規制されていない絶滅危惧種についても場所によっては釣りの対象とすることは控えたほうがよいかもしれませんね。 なお、「-」印を付けた種はもともと滋賀県には生息していない種です、 おおきな顔をして釣れるのはタイリクバラタナゴだけなんでしょうか。


タナゴの分類 (II) 国内の法令などでの区分
標準和名 文化財保護法 種の保存法 環境省RDB 滋賀県RDB 滋賀県条例
ヤリタナゴ        V
アブラボテ        V
ミヤコタナゴ 天然記念物 国内希少野生動植物種    CR    -
ニッポンバラタナゴ        CR    EX
タイリクバラタナゴ        - 指定外来種
カゼトゲタナゴ        VU    -
スイゲンゼニタナゴ   国内希少野生動植物種    CR    -
ゼニタナゴ        EN    -
イタセンパラ 天然記念物 国内希少野生動植物種    CR    EX
オオタナゴ        - 指定外来種
カネヒラ        V
イチモンジタナゴ        EN    E 指定希少動植物種
タナゴ        NT    -
アカヒレタビラ        -
キタノアカヒレタビラ        -
ミナミアカヒレタビラ        -
セボシタビラ        VU    -
シロヒレタビラ        E

備考:
(1)外来生物法にかかる特定外来生物等への指定の適否について検討する外来生物(要注意外来生物)として、タイリクバラタナゴとオオタナゴが挙がっています。
(2)この表には挙げていませんが、地域指定の天然記念物となっている場合や、滋賀県内のイチモンジタナゴなどのように条例で採捕等が禁じられている場合もあります。
(3)環境省のカテゴリーは略号で記載しています。
CR:絶滅危惧IA類、EN:絶滅危惧IB類、VU:絶滅危惧II類、NT:準絶滅危惧 です。
(4)滋賀県のレッドリストのカテゴリーは環境庁の旧カテゴリーに基づいていると思われるものが公表されていました。EX:絶滅種、E:絶滅危惧種、V:絶滅危惧増大種/危急種 と成っているようです。


釣りの対象としてのタナゴの生態

学校で理科の時間に教えていただいたのか本で読んだのか覚えていませんが 「タナゴはドブ貝に産卵する」ということだけがタナゴに関する私の唯一の知識でした。 その他、魚捕り遊びをしていて経験的に知ったのは、 タナゴはやや汚染された排水路などにも棲んでいたが あまりにも汚れたドブ臭のするような川にはいなかったことと、 止水である琵琶湖の湖岸の芦の際や桟橋の際から流速数十cm/秒の水のきれいな小川まで いろいろなところにいたということです。 (その後、調べてみると、タナゴの一般的な遊泳許容速度は71cm/秒、 実際に棲息する時の遊泳可能な流速は40cm/秒以下だということが解かりました。 表層の流れが早い小川でも流れが緩い部分に棲息していたようです。)


ヤリタナゴ、アブラボテ、シロヒレタビラ、カネヒラ、タイリクバラタナゴについて 生態を調べてみることにします。 釣ったタナゴを短期間飼育してどんな行動(主に餌の食べ方や怯え具合)をするか 観察してみることにしました。 棲息場所が解ったヤリタナゴ、アブラボテ、タイリクバラタナゴからはじめます。 観察後は元の場所にリリースする予定です。(2004年11月23日)


2007年5月1日から滋賀県内でタイリクバラタナゴを飼育(飼養)する場合は、条例により届け出が必要となりました。 また、滋賀県内ではタイリクバラタナゴは元の場所へのリリースも出来なくなりました。 私は、タイリクバラタナゴの飼養を止める場合の措置は殺処分することにして届け出ました。 かわいそうですが、きまりはきまりです。


2007年12月21日更新:ファイル書き換え、再編集。

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